3章-3-1<セクション2~①サプライヤの具体的カテゴリわけ>

サプライヤのカテゴリわけ

ここで用いる「カテゴリ」とは、サプライヤマネジメント実践に際して、バイヤー企業にとって重要度を示すカテゴリです。いわゆる製品や購入内容の特性に応じたカテゴリではありません

おわかりのとおり、評価したサプライヤをわける「カテゴリ」です。カテゴリごとにサプライヤへのアプローチ方法を変えて、目的を実現させるためにサプライヤを「区別」して管理します。

企業の事業内容によって、重要なサプライヤとなる基準は千差万別です。調達・購買部門は、常に事業の将来性や、市場環境の推移を注視して、「どんなサプライヤが重要か」を突き詰め続けなければなりません。『調達・購買の教科書』(日刊工業新聞社刊)でも、一般的なサプライヤ評価については述べたように、基本的にはQCDを中心に評価を実施します。しかし、競合企業によって重要であっても、自社にとって重要であるかどうかは、みずからの判断によって決定されます。QCD評価にくわえて、一般的には自社の事業運営に影響度の大きなサプライヤを次の三つの条件にもとづいて選びます。

 

(1)現在の事業運営に欠かせないサプライヤ

総購入額に占める一社あたりの購入割合の多いサプライヤです。パレートの法則を調達・購買部門に当てはめると「総購入額の80%を占めるサプライヤの社数は、全サプライヤ社数の20%」になります。まずは、購入総額の80~90%を購入しているサプライヤすべてを対象にします。

 

(2)将来の事業運営に必要なサプライヤ

現時点での購入額で判断しない基準です。将来的に必要となる技術で、共同開発や、試作品の発注をおこなっているサプライヤです。サプライヤの技術的なサポートや、他社にないノウハウを有しているサプライヤが該当します。この観点でのサプライヤを調達・購買部門で重要視するために必要な情報は、購入要求部門が握っています。またマーケティング部門とのコミュニケーションを通じて「将来的に必要になるけれども、社内には持たないリソース」といったテーマでの問題意識を持たなければなりません。

 

(3)代替ソースが存在しないサプライヤ
バイヤー企業側が他の購入ソースを持たない独占的なサプライヤです。供給の停止が、バイヤー企業にとっての死活問題となります。同時に、バイヤー企業の影響力が行使しづらいサプライヤです。調達担当者にとって扱いづらいサプライヤです。しかし、独占的な製品やノウハウを有しているから、サプライヤの言いなりになって良いかといえば違います。少しでもバイヤー企業の「買わなきゃいけない」状態によって生まれるデメリットの小さくする取り組みをおこないます。

 

評価と、この三つの条件を照らしあわせて、まず「重要サプライヤ」を認定します。ちなみに、他の例としては、企業所在地近隣のサプライヤとの観点です。自社拠点とサプライヤとの距離を規定する大手企業もありますし、地理的な距離の近さは、まだビジネスに有効な面も多くあります。

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