2章-7-2<セクション6~⑤いかに在庫コストを正しく把握するか>

・調達品の在庫

ところで、在庫というとき、かならずしも自社で有するわけではありません。一般的なイメージの在庫とは、自社が買ったものを自社が有するCMI(カスタマーマネージドインベントリー)と呼ぶものです。カスタマーとはバイヤー企業のことで、サプライヤからすると”カスタマー”になります。

ただバイヤー企業からすると在庫の存在は望ましいものではありません。前述したとおり、現金が有効活用されませんし、在庫管理費用もかかります。そこで在庫ゼロを目指し、必要なときに必要な数量を納入いただくJIT(ジャストインタイム)納入を志向するバイヤー企業が増えてきました。

JIT納入を実現できるのは大手企業に限られるのが現状です。また大手企業であっても、JIT納品のためにサプライヤは過大な社内在庫を抱えるケースもあります。つまり、在庫の場所がバイヤー企業からサプライヤへ移管したのみで、負担がバイヤー企業からサプライヤへ押し付けられたにすぎないというわけです。

そのほか、バイヤー企業の在庫管理方法としては次のものがあります。

分納方式 ●発注(注文書)は一つにまとめるものの、納入指示が複数のタイミングにわかれている方式
●在庫量の水準を下げることができる
預託方式 ●自社倉庫にサプライヤの部材置き場を用意し、そこに部材を納入してもらう。使用したぶんだけ、対価を払う方式
●細かな部材の場合は、自社とサプライヤの双方とも管理コストを軽減できる

●下請法対象企業にたいしては書面の交付義務違反となる

直送方式 ●サプライヤから、その部材を支給するサプライヤへ直送する方式

お読みいただいた通りなので、とくに説明はありません。ただ、あえて強調すれば、預託方式は下請法の「書面の交付義務」違反にあたりますので、下請法対象企業以外にのみ適用する方式だと覚えてください。

さらに、これにくわえてVMI(ベンダーマネージドインベントリー)があります。

VMI
(ベンダーマネージドインベントリー)
●サプライヤによる在庫管理方式で、サプライヤによる在庫機能の代替。自社の生産計画情報等をサプライヤと共有することで、必要量を準備する方式
●サプライヤ側との密接な情報共有化が必須だが、サプライヤ側の負担が増える

これは大胆に説明すれば、バイヤー企業の工場周辺にサプライヤ倉庫を用意してもらい、その倉庫から工場までJIT納入いただくものです(工場周辺にはかならずしも必要ありませんが)。

つまり、サプライヤと自社(バイヤー企業)工場をJITでつなぐことはできなくても、VMIを使えばJIT納入が可能になります。ただ、これもサプライヤ側の負担が大きくなってしまう批判はあります。

ただし、在庫コストを自社から切り離す観点からは有効な手段とはいえます。

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