2章-4-1<セクション3~②いかに効率的に発注をおこなうか>

・正しい発注処理をおこなうための生産管理部門との連携

また、品質不良などがない通常状態では、いかに効率的に発注をおこなうか考える必要があります。そこで注目すべきが、調達・購買部門と生産管理部門との関係です。というのも、ここの関係にほんらいはもっとも注目すべきなのに、さほど意識するひとはいませんでした。

製造業における直接材の場合、生産管理部門の生産計画が調達・購買部門に提示され、具体的な購入量と時期が決定します。二つの部門の関係は「前工程=生産管理部門」、「後工程=調達・購買部門」となります。調達・購買部門の仕事を円滑に進めるためにも密接な連携が必要です。適切な「購入せよ」との指示を得るためには、前工程へのサプライヤ情報のフィードバックがポイントになります。サプライヤの最新状況を、生産管理部門で策定される計画に継続的に反映させる仕組みの構築が必要です。

あえて教科書的にいえば、生産管理とは、生産に必要なあらゆるリソースを同期(時間的に一致)させ、もっとも効率的なタイミングで生産工程へ投入する管理を行います。また、サプライヤからの購入する製品の種類と量、時期を決める重要な役割を担っています。前述したとおり、購入仕様を決定する部門と同じく、調達・購買部門の「前工程」となり、的確な情報提供の実現によって、円滑な調達・購買業務が可能になります。

生産管理部門で作られる生産計画によって、調達・購買部門に「購入せよ」と指示が下されます。指示には、対象の製品や必要な時期と、数量の情報が含まれています。あとは調達・購買部門で、発注先と価格を決めて、サプライヤへ注文書を発行します。

生産管理部門では、自社製品の生産をどのように効率的におこなうかを検討し、実行・管理する責任を持っています。営業部門が受注した内容によって

  • どんな種類の製品を生産するか
  • どれくらいの量を生産するか
  • いつ生産するか

を総合的に判断し、生産計画をつくります。生産計画には、長期的なもの(大日程計画)から、実際に生産する期日に近づくにしたがってつくられるもの(中、小日程計画)まで、いくつかの種類があります。大日程計画における生産計画はサプライヤへ提示する需要予測のベースデータとなり、中・小日程計画における生産計画は具体的なサプライヤへの発注量を決定するための根拠となります。調達・購買部門は、生産計画で設定された要求納期通りに、製品を納入できるようにサプライヤへ働きかけなければなりません。

その際、注意しなければならないのが、注文書に記載の納期、購入量が、サプライヤにとって対応可能かどうかです。無理な生産管理の要求をそのままサプライヤへ一方的な提示するのは避けなければなりません。発注前の段階で、リードタイムや購入量が、サプライヤの能力に合致しているか、対応可能かどうかを確認します。確認の結果、懸念がある場合は、自社の生産スケジュール調整とサプライヤとの調整を同時に進めます。双方の歩み寄りによって、適切な購入条件を設定します。

継続的に購入しているサプライヤの場合、リードタイムや生産能力は日常的に変化の有無を確認します。例えば、過去に30日のリードタイムで購入できた製品があります。前回の実績から1年経過して、果たして同じリードタイムで対応が可能かどうか。最終的にはサプライヤへの確認が必要です。リードタイムが短縮されている可能性もあります。しかし、同じリードタイムであるかどうかは、そのタイミングでなければわからないものです。

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