2章-6-1<セクション5~④いかに効率的にモノの納期調整をおこなうか>

・納期トラブルへの対応

さて、発注量を手計算したのであれ、ERPの自動計算によるものであれ、納期トラブルが霧消するわけではありません。また、これまで述べてきたように、日常的に諸策を講じたとしても、納期トラブルの発生は防げません。納期的な問題が発生した場合、生産管理部門と協力し、事態の打開に取り組まなければなりません。

納期トラブルが発生したら、最初は原因究明でなく、状況改善=納期短縮に重点をおきます。そしてもっとも重要なポイントは、納期を調整するサプライヤとの窓口を、調達・購買部門に一本化します。

納期問題が発生した場合、バイヤー企業の調達・購買部門だけでなく、生産管理部門や営業部門が個別にサプライヤへ納期短縮要請をおこなって、自分たちの行動で、自社とサプライヤが大混乱を引き起こす場合があります。納期遅延を避ける場合は、こういった無用な混乱が最大の敵です。

ここで重要なポイント。守るべきは、顧客との契約納期です。納期の達成に、どのような対応が取れるのか。サプライヤの譲歩を引き出すためにも、自社がどこまで譲れるのかを、生産管理部門と一緒に調整します。

トラブル解消までは、納期遅延の責任論はいったん棚上げして、サプライヤと共同した問題解決にのみ注力します。納期トラブルが解消した後、どこに問題があったのかを、サプライヤと共に究明し改善を行います。

納期トラブルが発生すると、「サプライヤの納期遅れ」といった表現が、社内を駆け巡ります。原因究明が終わるまで責任の所在はわかりません。したがって主語のない「納期遅れ」との表現を社内に明言しましょう。そのような姿勢は、ビジネスのフェアーさを社内外に示す、調達・購買部門の持つべき重要な姿勢でもあるのです。

調達担当者に納期的なトラブルは避けて通れません。組立業の場合、例えば安価な部品一つが不足しても生産できず、お客様との契約納期を守れなくなってしまいます。納期に関するトラブルを未然に回避するには、サプライヤの生産能力をあらかじめ知っておく必要があります。

実際にトラブルが発生してしまった場合、問題の根はどこにあって、どのようにすれば事態を打開できるのかを解き明かすにも、サプライヤがどのようなプロセスや計画によって生産していたかを、まず理解しなければなりません。

納期トラブルとは、あらかじめ立案した計画の破綻です。また、事態の解決には原因の特定が不可欠です。納期的なトラブルには、必ず原因が存在します。原因が判明すれば、もう解決の第一歩です。トラブルの解消には、自社の生産計画を踏まえ、どこまで納期的な譲歩ができるかといったサプライヤとのギリギリの調整が必要です。

また、一時的には乗り切ったとしても、次の段階ではトラブルの原因を根本的に解消しなければなりません。そのためには、自社の生産計画はもちろん、サプライヤの生産がどのように計画され、実行されるのかの理解が納期トラブルを防ぐためのもっとも近道となるのです。

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