調達原論2【17回目一歩進んだ調達業務改善】サプライヤとのVAVEの推進
新人調達・購買担当者だったころ。不思議でたまらなかった。担当者がサプライヤに「価格が下がるVA/VE案を出してくれ」といって、なぜ案が提出されるのかと。自社の売上が下がる行為になぜ加担するのだろうと思った。
その後、なるほど、サプライヤも採用されるはずもない案ばかりを提出していると知った。たとえば、「サイズ縮小」とか「塗装廃止」とか。
インセンティブを与えるためには、やはり報酬がなければならない。製造業では、いったん決まった仕様書のまま調達しつづけるのではなく、終わりなき改善が重ねられる。そのときに、VA/VEの取り分をあらかじめ決めておくことだ。それでサプライヤも進めやすい。
表はあくまでも一例である。ただし、ここで強調したいのは、5:5でも7:3でも、8:2でもかまわないので、その発意元がソンをしないようにすることだ。そして納得感があることだ。
ところでVA/VE案の効果を検証する際に、かならず調達・購買担当者はみずからが査定しなければならない。サプライヤにとったら、「仕様アップは高めに」「価格が下がるときは少なめに」が常識だ。これは批判ではなく、そういうものだから、関連コストを含めて算出しなければならない。
VA/VEは、ときとして、機能を剥ぎ取ることだと誤解される。だから調達・購買担当者もただただサプライヤからのろくでもない提案を受け取るのだ。以前、「もう、いっそうのこと、この部品なくしたらどうですか」と冷笑混じりにいわれた。しかし、これも歴代続く茶番の果てなのだろう。