調達原論【23回目】サプライヤ趨勢分析

優れたサプライヤには発注量を増加させ、関係をより強固なものにしていく。しかし、量が増えた結果、サプライヤが儲からなくなっては不幸だ。そこで使えるツールとして、趨勢分析がある。

これは、各種サプライヤ経営指標を3年間の経年で見ることで良し悪しを判断するものだ。3年前の売上高、粗利益、依存度を100とし、その伸びや減少を見る。なお、補足すると粗利益は決算書における損益計算書の売上総利益の額を見ればいい。なぜ営業利益や経常利益ではなく粗利益を使ったほうがよいかというと、純粋なものづくりの良し悪しを確認できるからだ。また、営業利益や経常利益はマイナスになっても、粗利益がマイナスにはならない。

また、依存度とは、自社の特定サプライヤへの年間発注額を、そのサプライヤの当該年度の売上高で割ればいい。文字通りサプライヤが自社にどれだけ依存しているかを示すものだ。

  • 悪い集約時:売上高の伸びに比べて、粗利益がそれ以下の場合。ほんらいは固定費の効率化が図れ、利益は伸びるはずだ。この場合は、集約することで逆に非効率化が起きていると想像される。
  • 良い集約時:一般的には、売上高の伸びよりも粗利益が伸びる。

悪い結果が出てしまった場合、もちろん量の拡大とともに価格を引き下げることで利益率が低下してしまっている可能性はある。ただ、不採算品目を集約していないかなど確認が必要だ。生産性の低い品目を押し付けていかもしれない。サプライヤ集約は双方のメリットがなければ長続きしない。

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