調達原論【4回目】見積様式設定
取引先から見積書をもらうとき、忘れてはならないのは、見積書フォーマットを作成しておくことだ。これによって、原価明細の把握ができ、かつサプライヤ間での比較ができる。その見積書フォーマットは品目によって多様になるものの、次の三つを失念してはいけない。
- 明細化:あらかじめ「材料」「加工」「金型」「経費・利益」「物流費」など、わけておくこと。分け方がわからない場合は営業担当者に質問する。
- 三本立て:「過去の納入品」や「廉価品」の三つを同時に見積書に書けるようにしておく。そうすることで、過去品からの値上げを防げる。さらに、そのサプライヤが得意とする廉価版を提案いただくことで自社仕様の見直しもできる。
- 市況時点:製造業においては納品後に、市況変動で値上げ・値下げ交渉がありうる。そこで、見積書には、製品コストを計算する際、何月何日の材料市況価格を使用して計算したかを訊いておく。それにより、今後の市況変動を把握すれば、適正な価格交渉が可能となる。
ところで、見積書の明細をもらうように、と勧めるとき、多くの企業から「サプライヤがくれない」「それは難しい」と反応がある。たしかに難しいかもしれない。しかし、何度も申し伝えしているだろうか。明細がない、いわゆる「一行見積書」では、非理論的な交渉しか残されていない。せめて、製品原価と経費・利益くらいは分離できないか。あるいは、物流費だけでも、材料費の総額だけでも明記できないか。こう交渉することが価格交渉の打開をもたらす。