6章-1 モチベーションゼロの仕事術

【Ⅰ.創世記~天地創造の物語】

 

はじめに神は都と地とを創造された。

都会に生まれた都は文化に囲まれ、地方に生まれた地は都会の文化などつゆしらず少年時代を過ごした。もとは都と地のそれぞれの文化が地域を覆っていた。

神は「怒りあれ」と言われた。すると地が都に怒りをおぼえた。

ひとはひとしく生きる権利をもっている。それなのに、たまたま生まれきた地で、あまりにも文化差があるではないか。地は高校生になると、意味もなく都会にあこがれ、偏差値に関係なく東京の大学に進学することを望んだ。

神はその嫉妬を見て、良しとされた。

神はひとの出生地によって都と地とをわけられた。神はまた言われた、「都と地を、金とビにわけ、さらに品位によって上と下にわけよ」。

そして世界はそのようになった。

これは、都と地の創世記からの物語である。

 

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鳥取県出身の地は、高校時代にたまたま立ち寄ったライブハウスで、東京からやってきたインディーズ・バンドの迫力に心酔したことがすべてのはじまりだった。地方出身でサブカルチャー好きというのは、イタい地に神があたえたひとつの特徴であった。地は音楽誌「DOLL」をすみずみまで読み、「パンクの真髄」を同級生に語るまでにいたった。地はインディーズのCDを買うために、特急列車「スーパーいなば」に乗り、神戸・三ノ宮まで片道3時間をかけて通った。鳥取には満足いくCDショップがなかったからだ。

地は高校3年生の春、CD収集遠征のとき、帰りの電車賃を計算間違え、50円が足りずにJR三ノ宮駅で1時間ほど立ちつくした。女子高生から50円を借りようとして電話番号を聞いたところ「そんなん、返えさんでええわ」と言い捨てられあと、特急電車に揺られながら、地方在住を呪い、東京進出を願った。高田馬場か中野に住めば、歩いて10分のところでインディーズのCDが売っていることをミニコミのチラシ欄を読んで知ってしまったのだ。

地は、「刺激をうけたい」と地親を説得し、偏差値55の明教大学の人間環境学部国際環境文化比較マルチメディア・リテラシー・コミュニケーション学科にすべりこんだ。地は音楽業界かマスコミに就職するために、「軽音楽部」と「マスコミ研究会」と、勧誘されて断れなかった「哲学研究会」に所属することになった。

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