6章-2 モチベーションゼロの仕事術

いっぽう、都は東京の白金高輪駅の近くに生まれたあと、麻布十番と広尾の中間にある私立高校に進学し、隣接する多くの大使館員の子どもたちと交流をもちながら育った。友だちのホームパーティーに招かれては、外国人のなかでの振る舞い方を学んでいった。最初は、英語を話している友人はなぜだか知的に見えたものの、そのうち英語を話していても中身のないひとの多さに都はきづいた。英語だとなぜか萎縮してしまう地と都の違いができはじめていた。

都の一人目の彼女は高校一年のときで、まわりから比べると遅れていたが、その彼女が都のタガをはずした。彼女は会計事務所を経営する父親の一人娘で、はじめてのデートの帰り際に「こういうときは、何かするものでしょ」といわれ、目黒のカフェのエレベーターでキスをした。

土日がくるたびに、二人で六本木交差点近くのカフェにはいっては、たわいもない会話を繰り返した。親はそれなりの収入があるといえど、バイトをしていなかった二人はホテルに行くことは2ヶ月に一度しかできなかった。二人にとって、バイトより毎日を少しでも愉しむほうが重要だった。

都はまた、都仲間があつまる秘密のクラブに出入りしていた。都の音楽の趣味は洋モノとドラムンベースで、理由は「クラブで流れていて、踊れる」からだった。ロック、パンク、メタルについては「ああ、あの汚いひとたちね」ていどの理解しかなく、「ノンポリ、無思想、流行」が都の特徴だった。

都はクラブで、さまざまなひとたち――成功している自営業者から大使館員、アーティスト、芸能人まで――の人間模様をながめ、「人生なんとでもなる」と理解し、勉強せずに入学できる明教大学に進んだ。地と都は、奇妙なかたちで人生の交点をむかえた。

大学に進学した都たち二人も、実家通いだったため、ホテルに行く回数は限られた。いっぽうで地方出身者の地は、中野で一ヶ月6万5千円の下宿住まいだったから、女性とたくさんできた。学生時代にたくさんできる地は、社会人になってから都にその回数で抜かれることになる。それを、「セックス逆転の法則」と呼ぶ。

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