5-(6)-3 QCの基本「QC手法の本当の使い方」

冒頭にも書きましたが、バイヤーにとってこれらQC手法やQC七つ道具は不要であると思われがちです。おそらく、その理由はQCサークルなどの活動が強要されていたり、解説書が面白くなかったりするからではないでしょうか。

確かに、地道に事実を収集し検証を繰り返すことが面白いとは思えません。しかも、どこか古臭い雰囲気すらあります。

しかし、ここでも私はこのQC手法がバイヤーにとって役立つと主張します。QC手法を通常の逆に使用することによって、それを証明できます。

バイヤー業務の中には「説明して納得させる」ということがあります。新規のサプライヤーを推薦するとき。調達戦略を他部門に伝えるとき。この価格で決定したいと書類を作成するとき。様々な場面が想像できます。その際に、このQC手法を使用するのです。

一体何が違うのでしょうか。簡単にいうと、次のようなことです。

・ 【従来のやり方】事実を集めて、QC手法を使い推考し、結論を導く

・ 【これからのやり方】結論を説明するために、それを導けるような事実を探し、QC手法を使って正当化する

こういうことです。これは一般的に仕事ができる人が無意識に使っているプロセスです。つまり、「積み上げ式の思考」から「トップダウン型の思考」に変えてしまうわけです。しかも、それを「積み上げ式の思考」の代表ツールのQC手法でやってしまう。

これは、QC手法の正統派からは怒られてしまうかもしれません。ですが、私が実感として本当に重要だと思い、常に活用している方法です。一回聞いただけでは、「ふーん」と思うだけかもしれませんが、一旦自分の業務に当てはめて考えてください。

この方法を勧める理由は、調達・購買業務において「全てが完璧な解」というものが存在しないからです。Aを選択すれば、Bは損害を被る。AとBを選択しても、Cの被害はゼロではない。などなど、どうしても矛盾や問題を抱えたまま何らかの意思決定をせざるを得ません。そのようなときには(言葉は悪いのですが)直感に頼らねばならないときもあります。

直感を使うが、理論的に説明せねばならない、という状況があります。そのときに、この「トップダウン型の思考」を使うのです。まず結論はこう、それを裏付けるデータはこれ、この要因は全体の何%を占める、その対策として今回の結論がある、と。もちろん、聞く人々を騙すために使ってはいけません。

ただし、結果を積み上げるだけではなく、まず結論やありたい姿を設定した上で、そこまで到達する手法を考えた方がモチベーションははるかに上がるということは強調しておかねばなりません。

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