5章-13 モチベーションゼロの仕事術

7.仕事が停滞しがちなひとは、とにかく仕事を入れよう

ヒマなひとと、忙しいひと。どちらに仕事を頼むべきだろうか。個人的な経験では、間違いなく後者だ。後者は忙しくなった理由は、もちろん仕事の質が高いからにほかならない。また、ヒマなひとの仕事が早いかというとそうではなく、むしろ忙しいひとのほうが仕事を早くこなしてくれることが多い。

ヒマであれば、一つの仕事に真剣に取り組むことができ、密度があがるかといえば、結果は逆になることが多い。これまでの先達たちのすぐれた仕事も、閑散期ではなく、多忙期に成し遂げられた。

忙しくなれば、仕事を効率的にこなすことが必要となり、必然的に仕事をこなすやりかたを学び、それが身体化する。私は「荷重主義」と呼んでいる。もっとも良いのは、とにかく仕事を詰め込むことである。つぎつぎと締め切りをこなさざるをえない状況に置かれれば、やる気やモチベーションといったものを言い訳にすることができない。しかも、多くの仕事をこなす訓練にもなる。

私は凡人であるため、できるかぎりの仕事を引き受けるようにしている。仕事が少なければ、特定の仕事だけに熱中してしまい、本質とは関係のない箇所に時間を割いてしまう。とくにプレゼンテーションの資料を作成するときに、時間が豊富にあれば、終わりなき資料作成に没頭してしまうひとがいる。もちろん資料の体裁や色使いは大切かもしれないけれど、プレゼンの本質はメッセージであり、述べる内容を洗練したほうが良い。むしろ、時間が限られていたほうが、内容を取捨選択することによって良質にできる。

ここで、仕事を入れるコツを教えよう。「私がやります」というのだ。会議のとき、打ち合わせのとき、さまざまな機会で、そのセリフを迷わずにとりあえずいってみる。仕事を避けようとするひとはたくさんいるものの、引き受けようとするひとはなかなかいないから、すぐに仕事であふれるだろう。

もちろん、仕事の引き受けすぎによって、身動きがとれずにどうしようもなくなってしまうこともあるだろう。いわゆる「テンパってしまった状態」だ。私は、つねにテンパっているくらいがちょうどいいのではないかと思う。仕事があることは、社会から求められていることだ。もしテンパったら、訓練だと考えよう。自分の極限をストレッチすることによって、1%ずつでも伸ばしていく。そうすれば、数年後には同僚と大きな差がついているはずだ。

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