6章-12 モチベーションゼロの仕事術
よく書籍などを読んで「私のように頭が悪い人間には、理解できなかった」と、なかば開き直るひとがいる。これは二つの意味で間違いだと思う。
一つ目は、理解できないことも時間をかけて考えたり調べたりすればわかることだ。必死に考えをめぐらし、理解する努力を重ねればほとんどのことはわかる。私は、かつてECサイト(商業サイト)構築法を読んで、なんのことかさっぱりわからなかった。しかし、「多くのひとがやっていることが極端に難しいはずはない」と考え、プログラミング言語(HTML、Java、PHP、cgi)を完全に素人の状況から独学した。すると、APIを使った簡単なホームページを作ることもできるようになり、物品販売サイトも結局は自分ですべて作成することができた。一見すると難しいことも、チャレンジすればたいしたことではない。「理解できない」とは、単に理解の時間が足りないことがほとんどだ。
そしてもう一つの間違いは、理解できないのは頭の悪い自分だけかもしれないのに、それを「頭が悪いひとは理解できない」と一般論のように語ることだ。何かに接してわからなければ、それは自分の実力不足だと恥じていればいい。自分以外は理解しているかもしれないからだ。前述したように、ほんとうの悪書だと思うなら、そもそも批判すること自体が時間のムダだから、それ以上かかわらないほうがいい。
「普通の読者は理解できないだろう」というひともいるが、あきらかにそれは「私も理解するのは難しかった。よって普通のひとはわからないだろう」と侮蔑に立脚している。自分が理解したのであれば、それ以上の余計なお世話はやめておこう。
自分にはできない、わからない、と言わないこと。それらが、自分に壁をつくらず、妙な劣等感をもたない秘訣だろう。そして、それらがやる気やモチベーションにかかわりなく仕事をこなす姿勢につながる。
すると、地上では、また神の声が聞こえてきた。