0章-3 モチベーションゼロの仕事術
メーカーに入社した私が配属されたのは資材部というところで、生産に使う部材の伝票を発行しては、取引先にひたすら納期催促の電話をかけ続けていた。単調作業の繰り返しで、モチベーションを維持するどころか、将来の希望を持つことすら難しかった。
どうしても間に合わない部材は、取引先の工場まで取りに行ったことも数度ある。突然、秋田に行くことになったとき、神戸から直行し、到着すると、気温に合わない服装で、立ち続けることもできなかった。雪道を歩いていると、雪でスーツと靴は汚れ、寒さが肌身に伝わってきた。
取引先の工場に出向いたら「忙しいのに来てもらっても困る」と言われ、なんとか生産をお願いすると、工場横のストーブのない会議室に通された。数時間後、やっと生産が完了した、できたての部材をバッグに入れ、そのまま空港に戻った。手もかじかみ、感覚すら残っていなかった記憶もあるが、もうほとんど覚えてはいない。
私が搬送上で揺らしたのが悪かったせいだろうか。自社工場に持っていき、検査をしてもらうと、何度やっても動かなかった。秋田までいって、かつ寒さに震えた結果が、このザマだった。受入担当者が私を怒鳴りつけた。「お前は、こんな役立たないものを取りにいったんか!バカヤロー!」。
私は反論もできず、いくつかの言い訳を重ねることしかできなかった。怒鳴り声が止むと、風に散って、あとかたもなくなった。
仕事の喜びは、ひとつも落ちていなかった。