2章-5 モチベーションゼロの仕事術
やりたかったことでも、③なら④に移り変わる。そんなときは、④を①に移行させることが必要だ。どうすれば良いか。それは、「求められること」=「ひとを喜ばせること」=「お金になること」を選択することだ。
社内で新人がいきなり大きなプロジェクトを任されることはない。クリエイティブな仕事に就いたとしても、面白い仕事の大半は先輩か優秀な社員が奪っていく。末端のつまらない仕事がまわってくる。
たとえば、さきほどのイラストレーターであっても、自分が書きたいイラストだけではなく、自分がたとえ書きたくなくても社会的に需要のある分野で書くべきだろう。ちなみに、私はこれまで原価の仕組みやビジネスモデルや仕事術の本を書いてきた。ほんとうは小説やサブカルチャー、社会にまつわる本を執筆したいと思っていたし、思っている。
ただ、「やりたいこと」だけを考えても行き詰まることは目に見えており、依頼のある分野での執筆を続けている。それを続けていると、自分の仕事が愉しいように誤解してきた。そして、この誤解は今、とても役立っている。
やりたくないことでも「求められること」を探してたんたんと仕事をこなすだけでいい。やる気もモチベーションもなくても、「求められること」を引き受ければ、その仕事を完遂する義務が生じる。
そしてこの③→④→①→②でも、あるいは最初から④であっても、④→①→②の動きを信じることができれば、誰でも仕事で成功することができる。それは、大金持ちという意味ではなくても、「オレの仕事って気づけば、多くのひとに必要とされているし、まあそれなりに愉しいじゃん」という充実感のことである。
大きな夢ではなく、そんなささやかな充実感のほうが、ひとを幸せにすることが多い。