4章-10 モチベーションゼロの仕事術

2.区切りの悪いところで区切りをつける

これも日本語として違和感のあるフレーズだろう。もちろん、集中して一気に仕上げることのできる仕事はある。ただ、多くの仕事は一度では終わらせることができず、多日数にわたる。たとえば、書類作成でも、原稿執筆でも、プレゼン資料の作成でも、複数日かかるのが普通だろう。そのとき、仕事は区切りよいところで中断してはいけない。

たとえば、資料のセクションが1から4まであったとしよう。「今日は、セクション2まで終わらせて帰宅しよう」とするのが、もっとも悪い。そのときは、セクション2が終わる直前で帰宅したほうがいい。中断するときは区切りの悪いところでなければいけない。

これも、人間が中途半端を嫌う特性を利用したものだ。仕事をキリのよいところまでやらないと済まないひとがいる。そのようなひとほど、このやり方を実践してもらうと、気持ち悪くてしかたがないはずだ。ただ、翌日は、その違和感を解消するために、仕事のとりかかりが早くなる。

一度、仕事を開始してしまえばこっちのものだ。あとは、中途半端な区切りを繰り返しておけばいい。もっともダメなのは、完結する箇所で区切ることだ。人間は資料を部分的であれ完結させてしまえば、その続きにとりかかることに躊躇しだす。自分が「もっと作りたい、もっと書きたい」ポイントで止める必要がある。これも、自分を自動的に動かすための技のひとつだ。

ちなみに、私は原稿を出版社の担当者に細切れに渡す。全文を書いて渡す人もいるというが、私には信じられない。書き足りない、あるいは、完成しきれない程度でまずは他者に送付しておくことで、自分が常に執筆できる状態に置いておくほうが良い。

仕事の資料も、未完成状態で同僚に送付する。そうすれば、前述のとおり、常にスタンバイ状態になれるし、何よりも、資料が完成したのちに手直しをせねばならない状況に陥ることもない。

ちなみに、区切りの悪いところから再開するには、パソコンの環境を同一化しておくほうがいい。私は会社でPanasonicのLet‘s Noteを使っており、自宅でもLet‘s Noteを使っている(合計3台ある)。再開したいと思ったときに、キータッチの違いが作業を止めてしまうことがあるため、同じパソコンを利用している。

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