4章-11 モチベーションゼロの仕事術
3.ただただ手を動かす
想像してみてほしい。パソコンに向かってキーボードを叩き続けていて、そのひとが「仕事のできない状態」だと思い浮かべることができるだろうか。仕事がはかどらず、陰鬱な状態にあるとき、ひとは動作を止め、頭のなかだけでぐるぐると考えを巡らせているだけだ。
心と体が同じものであるとして、これまで論を進めた。そこで、机の前に座っても、それでも仕事の手が動かなかったとき、解決策はただただ手を動かすことだ。
それは何を意味するのだろうか。ひとびとは、無意識にこれを実践している。たとえば、朝に出社すると単純なメールの返信からはじめるひとがいる。これはあまり頭を使わない作業で、手を動かすうちに仕事にとりかかろうとするものだ。あるいは、朝には書類の宛名を書いたり、郵送物の処理をしたりするひともいる。
それらの動作は有効だ。ただ、それでも仕事の初動が加速しないとき。加えて、私が実践しているのは次のものだ。
(1)タイピングソフトを起動させる
ソフトはなんでもかまわない(ちなみに私が使っているのは、SoftBank SELECTIONの「タイピング超完璧」だ)。起動すると、いくつもの文字列をただただ速く入力することが求められる。漢字やカナカナ、アルファベット。そしてそれらが組み合わさった文章。練習しているうちに、本来の目的であるタイピングも速くなる。
これは遊びなのだろうか。そうかもしれない。ただ、手をとにかく動かしているうちに、仕事の初動にスイッチが入るのは事実だ。
あるいはマインドマップを起動することも有効だ。マインドマップとは、トニー・ブザンが提唱したノート術で、自分の頭にあることを放射状に書いていくものだ。中心にテーマを書き、そこから周囲に関係する(あるいは関係がなくても思いつく)トピックを羅列していく。このマインドマップをパソコンでもできる。フリーソフトでいえば、XMindがある。このXMindを使えば、パソコンの画面がマインドマップのノートとなる。たとえば、中心に「新商品開発」と書く。そのまわりに「ターゲット顧客」「価格」「機能」「社会性」などとさまざまなトピックを無心にあげていく。思考や構成がもともと固まっていなくてもいい。気楽にただただ手を動かすだけだ。
ちなみに、私は原稿を書く前にもこのマインドマップを作る場合がある。繰り返しだが、いきなり100点の仕事をしようと思うから、手が止まり、行き詰まる。まずは物理的に手を動かすことだけを考えればいい。