4章-9 モチベーションゼロの仕事術

【③実践編】

1.とりあえずファイルに名前をつける

サラリーマンの仕事とは何だろうか。それは「書類を作ること」だ。これは多くの自営業者でも変わらない。そして、いまは仕事とパソコンは切り離せない。多くの場合、仕事とは、パソコンのファイルを作ることと同義だ。

何かをはじめるときに、もっとも力が必要なのは初動だ。そこで、やる気やモチベーションがないなどいわずに、まずはファイルに名前をつけて保存する。それ以上は考えなくていい。たとえば、客先への提案資料をつくろうと思ったら、「提案用資料2011年11月15日.pptx」とファイルだけ作っておく。それから提案資料と格闘せねばならないと考えるから気が進まなくなることもある。だから、まずはファイルを作るハードルだけを超えるのだ。

言葉を換えれば、「気が進まなくなる努力を止める」ことだ。妙な日本語と思ったかもしれない。あれこれ考えると仕事は進まない。一つの問題が、次の問題を呼ぶ。完璧に頭のなかで整理して仕事に取りかかろうと思っても、完璧になる瞬間などない。70点でも、50点でも、30点でもいいから、まず形として表現し出さなければいけない。そこで、ファイルの名前だけと、もっとも簡単な試練を自ら課すのだ。

私は何冊かの本を同時に執筆することがある。また、仕事でお客に提示する資料や、セミナー、講演の資料も作らなければいけない。そんなとき、私はたとえ中身が白紙であっても、ファイル名だけを作って羅列しておく。パソコンのフォルダーには仕掛りのいくつものファイルが並ぶことになる。

これを一度やっていただくとわかるが、ファイルに名前をつけて保存するだけで、「じゃあ、ちょっと項目だけでも書いておくかな」という気分になる。人間は、中途半端だと気持ち悪くてしかたがないからだ。一度、動き出してしまうと、あとは慣性の法則に従って自分を動かせばいい。

無料で最強の調達・購買教材を提供していますのでご覧ください

あわせて読みたい