5章-3 モチベーションゼロの仕事術

2.モチベーションなしで心が折れる自分を変えよう

心が折れたとき、よく「夜空の星を眺めよう」というひとがいる。また、「アジアアフリカの恵まれない子どもたちを思い浮かべて、自分の状況が恵まれていることを知ろう」というひともいる。あるいは「カラオケにでも行ってストレス発散しよう」というひとも。

順番に、(1)悩みの縮小化、(2)悩みの相対化、(3)悩みの転嫁 それぞれを勧めるものだ。ただ、これらは役に立たない。

まず(1)悩みの縮小化は、広大な宇宙と自分の悩みを比較することによって、悩み自体を小さくすることだ。これは瞬時的に悩みを抑えることはできるかもしれない。ただ、持続しない。そもそも夜空を眺めるだけで悩みが吹き飛ぶひとは脳天気なので、悩みをもたないだろう。それは皮肉としても、夜空は悩みの原因の解決にはならない。かつて、私に「ナイアガラの滝を見ると、その壮大さに悩みなどなくなる」と教えてくれたひとがいるけれど、ナイアガラの滝の近くに住むひとたちは悩みから無縁だろうか。

次に(2)はそもそも相対化自体に無理がある。また、この考え方の根底には、深い哀しみは、他者のさらに深い哀しみによって克服できるとする、卑しき精神が隠れているように思われる。そもそも下を見たらキリがなく、他者の哀しみによって自分の哀しみが軽減されるほどの単純なひとは深い哀しみは持たない。

そして(3)も短期的には解決したように見えても、本質的な解決にならない。あることに問題を抱えているときに、他のことで忘れようとすることは、多くの場合はまやかしである。また、私はカラオケでストレスが発散すること自体がわからない。気分転換というけれどほんとうだろうか。効率の悪いひとが、カラオケの翌日に効率的になったり、仕事の質があがったりした例を私は知らない。二日酔いで質が悪化した例なら知っている。

カラオケなどにいかず、仕事に行き詰まっているのであれば、うまくいかない原因を解決するしかない。それに粛々と仕事に没頭しているほうが、圧倒的にすぐれた仕事をすることができるだろう。

ちなみに、私は歌を知らないし上手くもないので、カラオケに連れていかれても歌わない。そうすると、「歌ってくださいよ」といわれる。どうも、あれだけ「個性」というひとたちは、歌わないとする「個性」を認めないようなのだ。おそらく、通常いわれている「個性」とは、平凡な群衆の一般特性のことだと思われる。

無料で最強の調達・購買教材を提供していますのでご覧ください

あわせて読みたい