4章-13 モチベーションゼロの仕事術
（３）スマートフォンを使う
仕事でもプライベートでもスマートフォンを使うひとが多い。このスマートフォンを使って、自分自身を機械にすることができる。具体的には、仕事の「一言目」をスマートフォンで自分にメールすることだ。
さきほど、サラリーマンの仕事とは「書類を作ること」だと述べた。誰だって資料の一言目が出てくれば難はない。机に座って、すぐに書類の一言目が出ればいいけれど、なかなかうまくいかない。パソコンを開いても、その一言目が思いつかずに、ダラダラと時間を浪費してしまう。
つまり、机に座って仕事をするタイミングと、一言目を思いつくタイミングは別物なのだ。誰だって、休憩中に、ふと「資料はこういう構成で、こういう初言で開始すればいい」と思いつき、机に早く戻りたい衝動に駆られることがあるだろう。しかし、そのひらめきのタイミングを休憩ごとに賭けていては時間が足りない。
そこで、スマートフォンで資料の「一言目」を思いついた瞬間に自分のメールに送ってしまうのだ。たとえば、ｉＰｈｏｎｅであれば、メモ機能を使えば、ＧｍａｉｌのＮｏｔｅｓ欄に自動的に転送される。会社によってはセキュリティの問題から、外部記憶装置（ＨＤＤやＵＳＢなど）を持ち込めない場合がある。ただし、メールであれば送付可能なはずだ。
たとえば私であれば、お客への提案資料をつくるとき「御社の外部支出状況から、コスト削減施策を提案します」とメールしておく。あるいは原稿を書くときは、「この本でお伝えしたいことは、新たなビジネスモデルが登場しつつあることです」などと、通勤途中でも部屋でくつろいでいるときでも、思いついたらすぐに送ってしまう。そして、１．で述べた、「とりあえず名前をつけたファイル」に、それを貼り付ける。パワーポイントの資料であっても同じく、一言目を貼り付ける。
実は、その一言目をそのまま採用することはまれだ。さきほどの文章も、結局は使わなかったものだ。しかし、それでじゅうぶんだ。その一言目とは、あなたを機械にし、初動させるためだけにある。どんな仕事でも、とりかかる瞬間がもっとも難しいし、時間がかかる。それを短縮する。
また、Ｇｍａｉｌを使っている場合は、メールを開いて「Ｓｈｉｆｔ＋Ｔ」を押すことで、「ＴｏＤｏ」リストに入れることができる。このようにして見える化することも、初動を加速させる工夫だ。
そして一言目を貼りつけたあとに重要なことは、そのまま思いつくことを入力していくことだ。たとえば提案書では、「御社の外部支出状況から、コスト削減施策を提案します」のあとに「なぜなら、問題点は３点ほど見受けられ、一つ目に～、二つ目に～、三点目に～」とただただ自分の手にまかせて動かす。まっさらな紙に完璧なものを書くよりも、一度書いてしまったものを修正するほうが時間は短い。とにかく、手を動かすことでラフ案を作りあげるのだ。しかも、意識やモチベーションに関係なく。
