2章-3 モチベーションゼロの仕事術
私は<「何のために働くか」「何のために生きているか」「自分がこの仕事をする意味はあるか」という質問は、常に上手くいっていないときにのみ発せられる>と書いた。私の尊敬するコンサルタントは「なんだかんだいっても、会社は売上があがったら、社員は給料があがったら、問題の9割は解決する」といっていた。当初、この発言を聞いたとき、皮肉か冗談だと思った。しかし、これは考えてみるに示唆的だ。このコンサルタントは「売上至上主義の会社はろくでもないし、お金だけでひとは動かない」と、経験から骨身にしみて理解している。その果ての発言だった。結局、ひとはお金のために働き、生き、そして報酬の多寡で仕事の意味を発見するのだろうか。
かなり大げさだけれど、ここで働く意味を考えてみたい。
ここまで読んでくれた読者を裏切るようなことをいうと、それは「ひとを喜ばせるため」である。なぜなら、それが儲かるからだ。これはやや偽悪的かもしれない。
これほど簡単ではないものの、仕事を「やりたいこと」「やれること」「求められること」の三つにわけよう。「やりたいこと」はお金にならないかもしれない。いや、ほとんどの場合はそうだろう。それに、こういうこともできます、あれもできます、といったところで、それが社会からは求められていないかもしれない。お金にならないかもしれない。
もう一つの「求められること」であれば、「ひとを喜ばせるため」のものと合致する。
そして、お金になる順でも、「求められること」→「やれること」→「やりたいこと」だ。自分が考える自分の特性を無視したとしても、「求められること」=「ひとを喜ばせること」=「お金になること」を選択すべきだ。