1章-3 モチベーションゼロの仕事術

ここで、日本経済の停滞と労働の変化を、身近なところから考察していきたい。

一般的にバブル崩壊は1992年ごろだといわれ、論者のなかには昭和天皇崩御(1989年1月)をその象徴とするものもいる。その後、バブル崩壊が決定的になり、日本経済の復活が懸念されていた。平成9年(1997年)の「公正取引委員会年次報告」では、「流通構造の変化と事業者の対応に関する調査」と題する項目がある。

そこでは、「卸売業者の役割の変化」としたうえで、「アンケート調査結果では,平成3年以降,価格・取引条件の交渉をメーカーと小売業者が直接行うケースが増えたとする者が3割から4割前後おり,今後も増えるとする者が卸売業者,小売業者,メーカーのいずれについても半数以上を占めた。その傾向としては,定番商品よりも特売商品の方が直接交渉が多く,また,小売業者の規模が大きくなるほど直接交渉の割合が多くなるといった状況がみられる」とある。平成3年とは1991年でバブル崩壊がはじまった年だ。このあたりから、売れば売れる時代が終焉を迎えようとしており、小売業者はメーカーと直接交渉をすることによって仕入れ価格を抑え、それによって販売価格を下げようとしている。

「特に大規模小売業者は,既存の商権や特約店であるかどうかに関係なく,特定のより効率的な卸売業者から仕入れを行うようになっており,大規模小売業者等にとって特約店としての卸売業者の役割が形骸化している面は否定できない」、「大規模小売業者からの物流センター利用料やリベートの提供要請,卸売価格の引下げ要請等の働きかけについては,平成3年以降,全般的に強まったと認識している」ともある。

経済の停滞と、それに少しでも抗うために、各小売店が販売価格を引き下げることによって消費者にアピールしようとする試みの跡が見られる。

この傾向は、いまだに衰えを知らない。

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