10-1.購買部門バイヤー評価 ~エクセレントバイヤーに花束を 「購買改革のためのバイヤー評価法」~
「お前らのやっていることはデタラメだ!!」
設計課長は、机の前にいる購買課長に対して怒鳴り声を上げた。ある製品プロジェクトの原価分析会議の席上でのことだった。設計課長は購買課長が提出して説明をとうとうとし始めたその書類について、モノ申せずにはおれなかった。
設計課長が見たのは、全く意味のないコストダウンの数字だった。全く意味のない架空の成果だった。困ったことに、書類を作成した本人も「実は意味がない」と思っているから、反論のしようもないのだ。「だけれど、いまさら何を言うというのか。いつものとおりコストダウンの報告をしているだけだ。これだけ安く買えてるんだから、報告したっていいじゃないか」そのように購買課長は感じていた。
しかし、怒鳴られた購買課長は、黙ってしまい、その批判を20 分に及んでただただ聞くしかなかった。この世の中に、売上額を虚飾して報告するセールスマンがいるだろうか?「おれはこれだけの売り上げを上げたんだ」と架空の数字をでっち上げて自分の成果にしてしまう営業マンがいるだろうか。もちろん、いるだろう。
しかし、最後は客先から実際に支払われた「売上金」と比較される。もし嘘の報告をしていたら、殴られるか、左遷にあうだけだろう。そういう営業マンは駆逐される。それは世の中の法則というものだ。新入社員の学歴や保有資格を詐称して報告する人事担当者がいるだろうか?あるいは、自分の過去を詐称して就職試験を受けようとする人がいるだろうか。もちろん、いるだろう。
しかし、それも履歴書を見ればすぐにわかる。どんなに優秀な人材を採った、と叫んでみても、その社員が職場に配属されしばらくたてばボロが出てこざるをえない。その偽った経歴とその社員とのギャップがどうしても出てきてしまう。そしてその詐称があまりに悪質ならば、降格させられるだろう。あるいはクビになってしまっても文句は言うことはできない。その一方で、虚偽の成果の報告をしてもバレない人種がいる。購買・資材部門、というやつだ。