9-2.購買アウトソーシング ~購買パラダイムの変換を! 「新しい購買の新「進化論」」~

なんだか、購買部のやっていることが高貴であるかのように、高尚であるかのように、他部へ宣伝する営みが続けられている。

 

あるとき、それは「購買戦略」という形で語られたりしている。「いや、これは戦略上のことですから」。こう語れば、何もかもが許されるかのように。そしてときに、バイヤーが現行コストから「いくら下がったか」という点のみにフォーカスし、「うちの購買はこんなにすごいんだ」と自慢しようとする。

 

しかし、と私は思うのだ。だが、もしかして今やっていることは「大いなる暇つぶし」かもしれない、という認識くらいは持っておいたほうがいい。私は、購買歴半年のころからこの思いにとりつかれている。もちろん、第一線で働いているバイヤーのことを否定などしない。が、A社を以前担当していた先輩バイヤーであれば、このA社に対して毎期毎期の定期コスト削減に莫大な時間をかけていたはずだ。

 

毎年3パーセントが下がったとしても、3年で10 パーセントしか下がらない。それを、単に商社をかえるだけで一気に下がる可能性だってある。もし、手法をかえるだけでコスト削減が実現できるのであれば、従来のやり方を踏襲していたときにコスト削減のために発生した交渉時間は浮く。 逆に言えば、以前のやり方を踏襲しているなら、全くの無駄な時間を浪費することになる。

 

私が書いた事例は、たかが購入先を見直しただけの話だ。しかし、たかが購入先を見直しただけで、コスト削減ができた。その後の問題もなく、支障もなかった。あったとすれば、既存の商社に侘びを入れにいったことくらいだ。営業マンが興奮して電話してきたくらいだ。どうせ、何かモノを買うなら最安値のところを見つけたい。

 

単純な発想を実行しただけにすぎないのだ。購入先変更ですら、こういう効果だ。もし、部品自体すらも代替品を探すことができたら?それをグローバルな観点でやってみたら?多くの情報を持つプロがやったら?そう思考実験してみれば、答えは自明だろう。製品を買うとき、バイヤーは常に競合を意識する。

 

しかし、その自分自身が競合にさらされることなど考えもしない。実は、今バイヤーがやっている仕事は、競争相手がいないタコツボの中だから、そのレベルの低さが認知されていないだけではないか。もしかすると、バイヤーというのものが、市場にさらされ各プレイヤーの評価が下されるとしたら、一体どれだけの人数のバイヤーが現在の立場に残ることができるだろうか。

 

こんなことを言い出すと、決まって「短期的なコスト削減だったら誰だってできるよ」などと反論する人がいる。では、完全に購買業務をアウトソーシングして、そのアウトソーシング先がプロとしてサプライヤと長期の関係を保ってみたら、と言い返すと何もいえない。「もしかすると、現在の購買の業務は意味がないことばかりではないのか?」。

 

こう考えた私は、次に「現在購買部がやっていること」を疑いの目で観察せざるを得なかった。もしかしたら購買のやっていることは無駄づくりじゃないか。もしかしたら意味のないことで自慢しているだけではないか。もしかしたら全然安く買っていないのではないか。

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