5-5.購買オペレーション ~バイヤーは買い物で萌えろ 「バイヤーは奥さんとの買い物で会社経 営を考えろ」~
「いや、そうなると人員も増やさなきゃいけなくなるし・・・」
「いいじゃないですか、増やしましょう。あるいは外部の企業アウトソーシングで任せてもいい。一人分の給料なんてすぐに出ると思います。ああいう、間接材なんて一体どれくらい無駄な発注をしているか分かりませんよ」
「だが・・・あんまり購買がそういうところに口出しするのは・・・」
「いや、だから今までの購買がやっていなかったんですよ。そういうことをやってこそ『すごい購買』でしょう。『購買が会社を変える』っていうことでしょう。そういう分野を分析したら、どんどん無駄な買い物が見えてきますよ。どれだけ会社の金を浪費しているかってことが分かります」
「そんなことをしたら、各部門から恨みを買うだろ」
「それをやるんですよ」
「お前、もうちょっと大人になってみろよ。この前だって、いきなり各部長に『どれだけ無駄な注文をしているか』なんてことを私にも相談せずに勝手にレポートを出していただろ」
「いや、そうじゃないでしょう。あのレポートだって、着実に改善を促しました。会社のルールを守らせて、さらにはトータルのコストを下げようとしているんですよ。それこそ会社のために成果を上げようとしているんです。絶対間違っていないですし、正しいことですよ。まず、一体どれをどこからどの程度買っているかを明らかにしましょう。だって、自分のサプライヤからどれだけの額を購入しているかすら知らない購買担当がいます。そして、どれだけのモノが無駄になって捨てられているかを把握していない担当者もいます。そして、どの設計部門が無駄な買い物をどれだけしているかなんて、誰も知らないでしょう」
「まぁ基本的な考えは否定するわけじゃないが・・・」
「多少意識のあるそういう部門だってそういう状況です。きっと、間接材として各部門が勝手に購入しているものなんかヒドい状況だと思いますよ。購買担当なんて、自分の購入している部品や製品をいくら下げるかっていう近視眼的な発送しか持っていない。もちろんそれは正しいんだけれど、もっと広く会社の支出というものを考えていかなきゃならないんです」私は部長の部屋を出た後に、すぐに資料を書き出した。
「今まで、購買評価というものは、一つの観点からしか見てこなかった。製品をいくら安く買えたかという観点だ。しかし、その評価軸では無駄な発注を防ぐことはできなかった。また、購買部門の管理できないところで生じている発注品は管理の目が届くことはなかった」
まず、最悪の現状を公に晒すことから始めよう。そして、その最悪の状況から目をそらさず、向き合うことから始めよう。何をどこからいくかで買っているか?これを徹底的に把握することから始めよう。このことが次の戦略的な買い物につながる。よし、と私は思った。
購買は会社の財布のヒモを締めてゆくぞ。