5-4.購買オペレーション ~バイヤーは買い物で萌えろ 「バイヤーは奥さんとの買い物で会社経 営を考えろ」~

しかし、である。考えても見てほしい、購買が10 円下げるのに苦労しても、無駄な発注が存在すれば、そんなコストダウンなど吹き飛ばしてしまうのだ。コストダウンなど全く意味がないくらい、全体のコストを押し上げてしまうのだ。

 

極論を言えば、全くコストダウンなどしなくても、必要な分だけ必要なときに購入することができれば、会社の全体のトータルの出費は下がる。なぜこういうことを真剣に考えないのだろうか。なぜ、一つあたりを何円安く買ったことだけにフォーカスしてしまうのだろうか。なぜ、無駄な買い物をした結果、在庫だけが溜まってしまったことを事務的に処理しようとするのだろうか。

 

自分の家で、全く使用しない食材を買い続け、捨て続ける人がいたらそれは狂人だ。資産を食い潰し、その果てには破産しか待っていない。使用するときに使用する分を買ってくるという当然のことを皆考え、工夫しようとするだろう。それが会社の金であっても変わるものか。おそらく、そこには購買が会社の金庫番だという意識の希薄化があるのだろう。会社の金をできるだけ使わないことが、自分自身の消費活動と等価であることに気づかないだけだろう。これからの購買はプロフェッショナルな金庫番として支出の厳しい管理にあたらねばならないのではないか。

 

そして、社内の統制を自ら進んで買ってでるべきではないか。自分だったら絶対に買わないものを、会社の金であれば買ってしまうというのは明らかに倒錯した感覚だ。購買が身に付けるのはプロ意識もいいが、それ以前に主婦意識ではないか、と皮肉すら言いたくなってくる。「バイヤーは奥さんとの買い物で会社経営を考えろ!!」そう思った私は、すぐに部長のもとに駆け込んだ。

 

アイディアをアイディアで終わらせないためには、誰かに話すということが重要になってくるからだ。

 

「部長、今度は購買部員のコストダウンを無駄にしない施策を考えてきました」「コストダウンを無駄にしない?」

 

「そうです。今はコストダウンをやってもほとんど意味がありません」

 

「意味がない?だって、その分は確かに安く買えているだろ?」

 

「ええ、その分は確かに安く買えています。だけど5%安く買えたところで、その製品を無駄に一個買ってしまえば、そのコストダウンなど吹き飛びます」

 

「いや、だけど、それは各部署がそのときは必要だと思って買ったものだろ」

 

「だから、その安易な発注がダメなんですよ」

 

「それは分かるが、そういう在庫量とか必要量とか調べるのは他部署の業務だろう」

 

「違うんです。その感覚が古いんです。これからの『すごい購買』は、会社内の金の出口を全て責任を持って見ていかなきゃダメなんです。できれば、われわれが見ている直接材以外のセルフサービス購買といわれているもの、総務や管理部門が直接購入している間接材も対象にしましょう」

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