9-5.購買アウトソーシング ~購買パラダイムの変換を! 「新しい購買の新「進化論」」~
「だから、繰り返すが、そのときに評価の低い部員も同時にたくさん出てくるだろう。よく考えろよ。どちらかというと保守的なウチの会社でそういうことをやるのは過激すぎるよ。外資系じゃないんだから」
「外資系じゃないにせよ、正しいことをやる。それだけです。もしかしたら、もう購買業は営業職以上に、優秀な人間が舵を取る時代なのかもしれませんよ。プロとしての仕事ができない人は、早かれ遅かれお引取り頂くしかなくなります」
「ただ、評価が高ければ、ウチから出て行ってしまう人も出てくる。坂口が言っていた吉川の例だってそうだろう」
「発想の転換なんです。トップの購買部員が社内の地位向上を果たしていく。そして、そういう優秀な人材を企業が引き留める方向に走る、こういう緊張感が今何よりも必要なんです」
「・・・。それでも俺は反対だ。お前だって、理屈だけじゃこの組織は動かないことは知ってるだろ?」
「この組織の常識なんて、もうどうでもいいじゃないですか」
「ただ、残念ながら私はこの組織で働いているんだ」そこからしばらくの間、沈黙が流れた。しかし、ここで引き下がるわけにはいかなかった。私は意を決して部長に言い放った。
「ですが、一人だけが信じていれば妄想であっても、皆が信じれば現実になりますよね。部長、大変申しわけありませんが、やはりこの内容を社長に話してみます」
「お前、そういうことは絶対に止めろ!!」
「いえ、部長から部員に説明いただくのも気が引けます。あくまで社長に決定してもらう。そして、実現したら、社長の決定ということで、部長から皆に説明してください。部長だったら、ベテラン部員からの信頼も厚いですし、分かってくれますよ。日本の組織は、互いの常識で凝り固まっているのも事実ですが、何か制度が変わったときに順応性が高いのも同時に事実です。だから社長を通じて、制度を変えてもらいます」
「いや・・・。だからさぁ・・・もう。最近、お前どっか暴走しているぞ。もうちょっと私のことも考えてくれよ」
「部長のような方に、是非とも購買変革にご協力いただきたい。ただ、部長の立場も悪くしたくない。そう思った私の折衷案なんですよ」皆からの信頼が厚い部長にヒール(悪役)を演じてもらうわけにはいかない、と判断した私は部長の止める声も振り切って部屋を出た。