1-2.購買調達戦略 ~戦略なき者は去れ 「新しい購買のシンプル戦略立案」~
戦略とは目的を達成するためのものだ。それ以上なはずがあるのだろうか?難しい参考書には、戦略と戦術の違いとか、そういうことが色々と書いてある。そういう本を読んであなたも日々勉強しているはずだ。ある目的を達成したとして、それが緻密な戦略に基づいていなくても何が悪いというのか。
むしろ、緻密な戦略よりも、時代の感性で考えた思いつきが功を奏すときだってあるのではないか。しかも、時代を動かしてきた企業がやることは、常にその感性に拠っていたのではなかったか。そして、優れた戦略を持つ会社よりも、劣った戦略しか持たない会社の業績がいいなんてことも良くあることなのではないだろうか。
あなたの会社は優秀な人ばかりのはずなのに、新興のベンチャー企業のほうが数段に利益も上げているし、企業価値も遥かに高いということなどザラにあるのではないか。あるいは、戦略など持たなくてもサプライヤの前で机を叩けば安くなるのではないか。あるいは、困ったらサプライヤの部長あたりを呼んで、自分たちの会社がどれだけ厳しいかを1 時間ほど説明すれば、いつも「特別値引き」という名前でコスト削減に協力してくれるではないか。
戦略など、コトバだけで、実務を放棄した人間の暇つぶしではないのか。自分達には目の前のコスト削減目標を達成すればいいじゃないか。それに戦略など持ったところで、新しいサプライヤに発注しようとすると、社内でなんだかんだとイチャモンをつけられて、結局はこれまでのしがらみの強いサプライヤに発注することになってしまうのではないか。結局は部長のゴルフ仲間の社長の企業に発注が決まってしまうではないか。
だから、そもそも純粋な購買戦略など必要になることもないのではないか。その他、いろいろな言葉がキレイに流れていくだけではないか。「グリーン購買」から始まって、「CSR 購買」とかいうわけの分からないもの、「Win-winを目指す購買」に至ってはその意味すらも分からないまま、その概念だけがお題目のように流れてくる。結局のところ、こういうものを考えたってバイヤーにとっては役に立たない。そう言いたくなる。繰り返し、私はこれらのコトバを否定する気など無い。