6-11バイヤーの目指すべき理想的な交渉 ~長期的交渉
交渉は当事者が話し合いで調整しても、一回の交渉ですべて解決できません。交渉はさまざまな要因が作用します。バイヤーが目指すべき理想の交渉スタイルとして長期的な交渉方法を解説します。
☆交渉に必要な3つの要素
交渉には次の3つの要素が必要です。
(1) 交渉当事者双方のポジショニング
交渉を行う際、双方の当事者の立ち位置、交渉への望む姿勢を表します。バイヤー企業が買いたがっているのか、それともサプライヤーが売りたがっているのか。そのどちらが強いかを判断します。
(2) 交渉当事者間のリレーション
交渉を行うタイミングで双方の関係の状態です。双方が関係の継続を望んでいるか。それともどちらかが関係を損なっても主張を通すかどうかを見極めます。
(3) 交渉当事者の交渉スキル
交渉の行う当事者の、交渉の場で発揮できる能力です。能力はいわゆる交渉術でなく、サプライヤーと自社のポジショニングを掌握し、良好なリレーションを構築するといった交渉以外の能力も含まれます。
☆交渉に欠かせない「準備」の重要性
交渉に勝敗があるとすれば、準備の度合いで勝敗が決します。それほどに交渉の準備は重要です。交渉の準備度合いを確認する手段として、事前に交渉戦略をつくります。交渉戦略に必要な内容は、次の7点です。
(1) 現状分析:交渉相手のポジショニングおよびリレーションの状態の理解
(2) あるべき姿:希望する交渉結果
(3) 決裂リスク:交渉が決裂する可能性の見極め
(4) 提示条件:希望する結果を導く条件と、譲歩できる点の明確化
(5) 交渉実施者:誰が交渉を主導して行うか
(6) スケジュール:交渉結果を実現するまでの期間
(7) 代替案:交渉決裂を想定した代替案の有無
☆交渉は長期的になる
交渉の力を構成する3要素にしても、準備に必要な7つのポイントにしても、一朝一夕に完成しません。また交渉を有利に進めるためには交渉相手から信頼感を得ることも必要です。交渉とは、交渉する席上だけでなく交渉の前と後を含めて、長期的な視野で準備や交渉の振り返りを含めて対処すべきなのです。(牧野直哉)