2-8 情報を集め、活用する力~情報力
調達購買部門に限らず、事業運営には情報の有効活用が必要です。情報は収集が重要と思われがちですが違います。収集した情報は活用して初めて価値を生みます。情報は収集した後のアクションこそ重要なのです。
☆情報力の4ステップ
調達購買部門の情報力は次の4点をサイクル化し、常に最新の情報に更新して、情報を戦略的に活用します。
(1) 情報収集力
日常的に情報収集を行うときチェックポイントは2つあります。入手した情報の正確性と、入手した情報の鮮度を保ちつつ後の行動へ反映です。
(2) 情報共有・分析力
業務上入手した情報は社内関連部門の関係者で共有します。情報入手時点では正確でない可能性や、サプライヤーの経営不安といった、取り扱いに注意を要する情報は、再配布の注意喚起を行います。入手した情報には確固たる裏付けがない場合もあります。そういった情報を共有して、相手からフィードバックを得たり、正確な情報かどうかを判断したり、情報の追加更新や正確性向上が期待できます。
(3) 情報を再構築する力
様々な情報源からたくさん情報収集を行っても、役立つ情報が入手できる可能性はごくわずかです。手元に集まった情報は、断片的なのが実情でしょう。そんなときは、いくつかの情報を組み合わせ論理的に再構築します。
(4) 情報活用力
発注しているサプライヤーと取引関係を継続するとか、別のサプライヤーを探さなければならないといった具体的な行動へとつながる意志決定に役立てます。
☆ポイントは「入手」ではなく、「取捨選択」
情報は希少な情報の入手方法が重要視されます。しかし希少な情報を入手できる可能性は少ないのが実情です。欲しい情報がそのままの形で文献や、インターネットのホームページ上にあることは極めてまれです。活用方法を広げるためにも統計やデータといった情報は、提供者から直接入手し正確性を確保します。情報の取り扱いも、「いかに入手するか」から、世の中に存在するたくさんの情報から「必要となる部分を取捨選択すること」に変わっています。正しく取捨選択するために、正しい意志決定に反映するために、情報は正確さが重要なのです。
☆今日的、情報の活用方法
複数の情報を組み合わせ加工し仮説の構築が調達購買部門に必要です。難しいからと仮説を構築せず見通しがなければ、世の中の変化にただ翻弄されるだけの存在になってしまいます。そもそも見通しがなければ業務計画は作れません。戦略的な調達購買業務の実現には、見通した結果によるゴール設定が重要です。設定したゴールが間違っていたら素早く軌道修正が、今日的情報の活用方法なのです。(牧野直哉)