2-9 バイヤーに必要となる情報の収集 ~マーケット情報の収集~

バイヤーが状況判断や意志決定を行うとき、明確な判断基準設定に情報収集はとても重要です。バイヤーに必要となる情報と、その収集方法について説明します。

☆サプライヤー情報を集める

(1)新規サプライヤーの探索

購入したい商品内容は決定済みで購入先を調べる場合です。近年は中小企業でもインターネットのホームページを開設するのが当たり前になっています。調達品によって情報をまとめたサイトもあります。情報の網羅性の観点では、直接検索サイト(GoogleやYahoo)に具体的な購入品目、サービス名で検索がヒットする確率が高くなっています。また類似品を他のサプライヤーから購入している場合、会社案内に所属している業界団体名を明記している場合があります。業界団体のホームページがあれば、会員名簿の閲覧可否を確認します。新たなサプライヤー名が入手できるかもしれません。その上で、サプライヤー名で詳細の検索を行います。

(2)新規サプライヤー採用時、サプライヤーの取引継続審査時の情報収集

やはりYahoo!やGoogleのホームページから、サプライヤー名で検索します。トップページだけでなく、検索順位20位~30位くらいまでは、どんな内容がヒットするかを確認します。検索結果の上位は、企業が提供したホームページや、関連する製品案内のページが登場するでしょう。次ページ以降は、人材募集やCSR活動の報告が表示される場合があります。これから取引するかもしれないサプライヤーの情報は多面的に収集し、複数の情報提供元から情報収集を心がけます。検索結果は次ページ以降も必ず参照します。

上場企業であれば、ホームページから様々な公開情報へのリンクが張られているはずです。事業計画や財務諸表は入手可能です。信用調査会社のサービスを活用すれば、中小企業でも財務情報が入手可能です。

帝国データバンク http://www.tdb.co.jp/index.html

東京商工リサーチ http://www.tsr-net.co.jp/

(3)評判や社長の人柄

規模の小さな企業であればあるほど社長の人柄が企業経営に大きな影響を与えます。国内でも地理的に離れている遠方のサプライヤー情報は入手しづらいものです。そんな場合、「サプライヤー名(1スペース)評判」や、社長の個人名でネットを検索してみましょう。中小企業の社長の中には、地元の名士として地域貢献の活動を行っている場合もあり興味深い情報が得られます。

☆市況情報を集める

(1)原材料の市況動向

日本は鉱物資源のほぼ全量を輸入に頼っています。したがって原料価格の指標として使われる情報は基本的に海外からの情報です。鉄鋼製品は、日本に複数の高炉メーカーがあり国内のホームページを掲載しました。

LME London Metal Exchange https://www.lme.com/

非鉄金属のトレンドが参照できます。

WTI  https://chartpark.com/wti.html (情報提供サイト)

世界の三大原油指標の1つであるWTIは、ウエスト・テキサス・インターミディエートの略です。

鉄鋼製品

https://www.japanmetal.com/memberwel/marketprice

WEB産業新聞サイト 鉄鋼製品の相場推移がグラフで確認可能です。

https://www.japanmetaldaily.com/market/details/index.php#this_market

鉄鋼新聞サイト 日本各地の地域別の市中相場が数値で掲載されています。

(2)全体感・トレンド

日銀短観(全国企業短期経済観測調査)

http://www.boj.or.jp/statistics/tk/index.htm/

先行きの業況判断「大企業製造業の業況判断DI」は、日本のみならず海外の子女関係者も注目する指標です。

財務省 法人企業統計 https://www.mof.go.jp/pri/reference/ssc/index.htm

設備投資の動向や景況感の掌握に役立ちます。

ISM Index(PMI)

https://www.instituteforsupplymanagement.org/ismreport/mfgrob.cfm?SSO=1

全米サプライマネジメント協会が毎月発表するPMI(購買管理指標)は、米国景気の先行指標として扱われています。

☆海外情報を集める

(1)海外の価格レベルを掌握する

JETRO投資コスト比較 https://www.jetro.go.jp/world/search/cost/

Cost of living in cities around the world Prices and Earnings 2018

https://www.ubs.com/microsites/prices-earnings/en/

世界経済フォーラム The Global Competitiveness Report

https://jp.weforum.org/reports/the-global-competitveness-report-2018 Economist ビックマック指数

https://www.economist.com/news/2019/07/10/the-big-mac-index

(2)現地行政や、観光協会のホームページ

現地へ出張する場合には、一時的でも現地で生活します。ホテル、レストランや現地の治安情報などは、観光目的のホームページであっても有効な情報源です。

(3)JETRO 海外ビジネス情報 https://www.jetro.go.jp/biz/

各国の情報を入手できるのはもちろん、各国の情報が比較できる機能があり、海外のサプライヤーを探す場合の基礎資料の入手に便利です。なお、本項に記載されたホームページのURLは、2019年9月現在です。(牧野直哉)

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