2-6 コンプライアンスを実践する力~法務知識

遵法意識の高まりによって、企業活動の中で発生する違法行為の影響は、経営を揺るがすほどに大きなインパクトをもつ場合もあります。調達購買業務に関係の深い法律の理解を深め、コンプライアンス実践に努めましょう。

☆調達購買に必要な法律知識

調達購買業務は、基本的に次の5つの法規とのかかわりの中で仕事を進めます。

 

  • 契約、債務不履行、売買契約、請負契約、みなし規定(民法、商法)
  • 不公正な取引方法の防止(独占禁止法)
  • 不正競争防止(不正競争防止法)
  • 下請法(下請代金支払遅延等防止法)
  • 課税文書(印紙税法)

 

上記に限らず、明文化されていない社会規範や慣習まで、様々なルールを守りながら業務を進めます。

☆下請代金遅延等防止法

調達購買部門とって最も関連性の深い法規はです。バイヤー企業が発注企業(親事業者)として、受注企業(下請企業)に対する義務と、禁止行為を規定しています。

下請法は調達購買部門のみならず、企業全体に適用される法律です。例えば、口頭による発注で製品を受領、注文書が交付されていない場合、親事業者としての義務を果たしておらず下請法違反です。下請法は調達購買部門で順守はもちろんのこと、社内各部門の順守する意識の啓蒙も調達購買部門の重要な役割です。

☆新たな法務への対応

企業は今、利益追求のみならず、社会的責任(CSR)のまっとうが必要です。法令順守のみならず、地域社会へ貢献や、環境保護だけではなく従業員まで含めた続可能な生産活動が求められています。有害物質を製品に使わない、市場へ流通させない、廃棄しないを目的としたグリーン調達の実践や、地球温暖化を防ぐ自社のみならずサプライヤーの企業活動全般を網羅した二酸化炭素排出量の管理も法整備が進んでいます。企業によっては、法務の組織が整備されている場合もあります。法律適用の是非は、専門家へ協力を仰ぎつつ、バイヤーとして関連法規を順守し、日常業務においてもサプライヤーとのフェアな競争による公正な取引を実践しましょう。(牧野直哉)

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