2-5 信頼を得て維持する力~品質保証知識
近年の品質管理は、より上流・源流での管理が必要です。どのように品質を管理し保証するのか、調達購買部門に必要な品質管理の知識を確認します。
☆高まる品質管理レベル
品質管理は、次のようなプロセスで高度化しています。
(1) 不良品を市場に出さない【検査による品質保証】
製品出荷の際に、性能や外観を検査して、不良の有無を確認します。検査基準の作成が必要です。
(2) 不良品を作らない【工程管理による品質保証】
製造工程ごとに、正しく作られているか確認を行い、不良の有無を確認します。また、加工工程ごとに作業標準を設定し、製造方法を規定することで不良の発生を防止します。
(3) 不良品を企画・設計しない【源流管理による品質保証】
生産の前段階である製品企画や、設計段階で、リスク発生要因を洗い出します。そして、それらの要因ごとに不良発生を防止する対応策をあらかじめ実施することで、不良の発生を防止します。
上記(3)は、製品開発の初期段階から、全社的に品質を維持管理するための活動を行う仕組みとなっている点が重要です。このような取り組みは、「不良が起こってから対応する」という事後対応から、「あらかじめ不良を起こさないためにはどうするか」という予防管理に重点が移っていることをあらわしています。
☆サプライヤーの品質管理
サプライヤーから要求通りの製品が納入されているかどうかを確認する場合も、上記で説明した3つの考え方に沿って進められます。また、サプライヤーでの予防管理が実践されているかどうかを確認する手段として、サプライヤーからの納入時に、次の4つの方法から選択して受入検査を行います。4つの方法を適用基準は、①サプライヤーの品質管理能力 ②要求品質の重要度によって判断します。
(1) 全数検査 納入される製品全数を検査し、合否を判定
(2) 抜取検査 ロットから無作為に製品を抽出して検査し、抽出品の検査結果によってロット全体の合否を判断
(3) 書類検査 サプライヤー出荷時の検査成績表を確認することで、受領時の検査を省略
(4) 無検査 検査成績表の確認も省略
(牧野直哉)