ほんとうのBCP作成方法 4(牧野直哉)

●災害発生時の生活確保

災害発生時の初動を適切に行って、家族全員の安全が確保されれば一安心。しかし災害が発生しても空腹には襲われるし夜は睡眠が必要であり、生活の継続が必要です。平時の安心・快適な生活は失われても、最低限安全に日々生活できる環境維持が必要です。ポイントは2つあります。

・事前準備

まず次の点を確認しましょう。

①耐震性
これは木造や鉄筋コンクリートといった建築方法によって違います。木造住宅の場合は、阪神淡路大震災の後に基準が見直されました。自宅の建築が1995年より前か後か、1995年前後の場合は具体的にどの基準で建てられているのかを確認します。その上で、ハウスメーカーや診断会社、地方自治体に依頼して耐震診断を行って、耐震補強工事の要否を判断しましょう。

②自宅周辺施設の確認
どんな災害に見舞われるかはわかりません。したがって耐震補強工事を行っても、自然災害による被害を受けてしまうかもしれません。まず自宅周辺の各種自然災害への危険度合いは、地方自治体の発行しているハザードマップを確認します。地震の揺れに対する強度や、地盤の堅ろう性(土砂災害リスク)、水害の危険性が判断可能です。直面する災害に、自宅にはどんなリスクがあるのかをあらかじめ理解します。

続いて、避難を要する場合に備えた避難施設の確認です。ちなみに「避難広場」と「避難施設」の違いは御存じですか?自宅に何らかの被害が発生して、自宅内では安全が確保できない場合「避難施設」への避難が必要です。

最後に医療施設の確認です。けがしたり病気になったりしたときにどこへ行けば良いのかをあらかじめ理解します。最寄りの病院が災害発生時にどんな機能をもつかがわかっていれば、どんなときに何処(どこ)へ行くべきか適切に判断できるのです。

③災害対応計画の確認
地方自治体や公共交通機関では、災害対応計画を策定して公開しています。(呼称が作成元によって異なっている場合があり)。私は、自宅とオフィスの地方自治体と、よく利用する公共交通機関の計画を確認しています。

④災害発生時の生活必需品準備
これもどんな災害に見舞われるかによって必要なアイテムは異なるでしょう。私はこれまでの被災状況を確認して衣食住に必要な次のアイテムを準備しています。

安全靴:今ではかなり履きやすい安全靴も販売されています

リュック:これは過去に使っていたものを災害時用にあてています

カート:上水道がストップした場合、給水車から水が供給される光景を、これまでの災害でも目にしています。自宅から給水所の距離を考えて手持ちは大変だと思い準備しました

食料と水:一週間分

寝袋と敷物と耳栓:避難施設の生活を想定

簡易トイレ:何があっても必要ですしね

簡易発電機:スマホ充電用にカセット式の発電機、価格的には一番高い準備

お金:1000円札、100円玉、10円玉で準備。できれば準備で支出する。お金が使えるかどうか、災害の内容に依存。

今でも何か他に必要なアイテムはないか、と考えています。一方でどんな災害にどんな場所で遭遇するかもわかりませんから、いろいろ考えているとあれもこれも、になってしまいます。できれば使わずに済ませたいですしね。

ここまで、個人のBCPに必要な内容を述べてきました。こういった準備によって、初めて勤務先のBCPの実現に貢献できると考えているためです。今回述べた内容は、少し過度な内容と思われた方もおられるでしょう。しかし私が済んでいる東京都は、人口の1割が居住しています。阪神淡路や中越、東日本と比較しても圧倒的に人口密度の高い地域で災害が発生すれば、仮に援助があるとしても被災者に行き届くには、相当な時間を要するのではないかと想定しているためです。

最後に準備したものが役立つ日が来なければ良いと心から願っています。

(おわり)

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