現在、サプライヤとしての商社評価の方法を考えています。メーカーやサービス業の評価は考えてきました。しかし、実際には商社に頼らざるを得ない企業が多いのも事実です。では、その商社をどのように評価すればいいのでしょうか。もちろん、メーカーとしか付き合わないという調達・購買部門もあります。ただ、商社は商社で存在意義があるはずです。
商社はずっと「商社冬の時代」といわれていました。ネットがすべてをつなげると、商社なんて不要になるという言説はわかります。しかし、そのような言説とは別に、ずっと商社は生き残ってきました。
では、どのような観点から、商社を評価すればいいのか。
そこで、商社を評価する、という定義を行います。ここでは主に、「その商社が存在する意義はあるのか」「商社Aと商社Bでは、どちらが優れているといえるか」といった内容です。それが明らかになれば、1.商社を介在させる必要があるのか 2.商社を変更するべきか といった判断基準が作成できます。
問題は、企業によって、商社にどのていど依存するかが違う点です。在庫を10個もってほしいのか、10万個もってほしいのか。それはニーズによってさまざまです。しかし、逆に言えば、そのさまざまゆえに、ニーズを拾った商社が残ってきたともいえます。
ですので、具体的な点数付けは理論上、難しい。でも、その評価の項目は提示できるだろう。そこで、私が行き着いた結論が下のものです。
1.場所
2.時間
3.量
4.情報
5.人的スキル
この5つで評価できるのではないでしょうか。このそれぞれを、たとえば10点満点で採点し、その合計で評価するモデルです。もっとも、その評価採点の基準値については議論が必要です。ただ、基本は、商社が介在するわけですから、介在しなければありえなかった付加価値を評価することになります。図表の説明とはやや違いますが、次を考えてみましょう。
1.場所:場所の懸隔を埋めるものです。たとえば、その商社がいなかったとしたら、メーカーと自社をつなぐ際に実現しなかったであろう場所・地理的な利点です。あえて簡単に、農家と消費者を考えましょう。農作物を保管してくれる商社がいれば、消費者が助かります。
2.時間:これまた農家と消費者を考えます。そうすると、農家は収穫時期が決まっており、いつも農作物を収穫できるわけではありません。しかし、商社が保管し適切な温度管理をすれば、消費者は年間にわたって食することができます(しつこいのですが、これはあくまで例えです)。そのように、ほしいときにほしいものが消費できるように時間の差異を埋めるのです。
3.量:農家と消費者を考えてみると、消費者は1個とか2個しか不要です。農家の生産ロットの引取を要求されると困ってしまいます。しかし商社が介在すれば、その分を買い上げ、さらに細かなロットだけを消費者に分配することができます。同時に、農家にとっても大量のロットを買ってくれるわけですから、農家経営の安定化も図ることができます。
4.情報:また消費者はさまざまなニーズを抱えているものの、農作物の専門家ではありません。そのときに、消費者の潜在的なニーズを汲み取り、それにマッチした情報やあるいは提案を提示することができます。情報収集を怠らず、世界から最適なコンテンツを提示することです。
5.人的スキル:たとえばコスト交渉や条件交渉など、プロフェッショナルとしてのスキルです。たまに、商社なのに何もしてくれないひとがいますからね。直接、メーカーとやったほうが早い、といった感想をいだくことも珍しくありません。ただ、本来は介在する役割として強い立場にあります。
商社評価の紹介でした。
(了)
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