新入社員と古参社員への独り言(坂口孝則)

もうホントに信じられないんですけれども、ワタクシごときを内定式に呼んでくれ、ご挨拶させる、などという企業がありました。だもので、そのときの文章を記しておきます。(なお業種は、不動産、住宅販売業です)

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みなさまこんにちは。ご挨拶ってことなんですが、長く時間をとってもらっています。講話っていうか、面白い話をしろってことだと思います。そして、今日は、新人のみなさまだけではなく、社員の方もいらっしゃるので、形を破って、両方の方々に面白いと思っていただける話をしようと思います。

まず、ここにいるみなさんですが、数年で大半が辞めていると思います(笑)。しかし、安心してください。先輩たちも辞めているはずです。これは皮肉ではなく、事実ですから。このような場でふさわしくない事実かもしれませんが、事実は事実です。まあ、でも会社なんてそんなもんじゃないでしょうか。使えたら使う、使えなかったら辞める。

社員が辞めるっていうのは、会社の成長率を上回った、すなわち、面白い仕事を提供できなかった、ということでしょう? それに、また働きたかったら出戻りすればいい。つまり、人生いろいろだから、柔軟に考えればいいといいたいわけです。

しかし、それだけではつまらんから、具体的なアドバイスを申し上げておきます。私は山崎元さんという、なんというのかな、金融関係のプロが好きでいろいろと著作を読んだり、発言を聞いたりしています。山崎さんは、転職の経験をまとめた書籍を出されていて、そこに、山崎さんが三菱商事勤務時代に聞いたという、新人へのアドバイスが書かれています。これが傑作なんです。

一つ目は、大声で話すこと
二つ目は、誰にでも同じことをいうこと
三つ目は、会社のためを思って発言すること

見事ですね。すべて、フリでかまいません。重要なことは、フリでもいいので続けると、それが作法になるということです。私は、軽やかに大きな声で、けっして異常なほど大声でなくていいのですが、挨拶をするようにしています。そんなの不要じゃない、という方もいます。たしかに不要な場面もある。ただ、トータルで考えると、挨拶はプラスになる。理屈じゃないんです。あ、元気だし、いいね、と思ってもらえること。

それと、陰口をいわないというか、誰にでも同じことをいうというのは、辻褄を合わせる必要がなく、効率的だということです。これはほんとうに大切で、あっちにはいい顔をして、こっちにはいい顔をして、その結果に、辻褄が合わない場合があります。しかし、結局は、正直に、誰にでも同じことをいったほうが効率的だし、正直なほうが誰にも好かれるのですね。

そして、会社のためを思って発言すること、は強力です。パワフルです。これで誰からも怒られません。というのは、怒られそうになったときに、「でも、会社のためを思ってやってんです」といったらどうでしょう。たぶん、上司の誰もストレートに怒れません。不真面目だとか、真剣じゃないとか、それだったら怒れます。でも、会社のために考え抜いてやったんだ、といわれたら、誰も怒れません。だから、これはパワフルなんですね。困ったほどです。私も、そういわれたら怒れません。

それで、私なりの三か条をあげておきます。実は、かぶるところもあるのですね。しかし、そうなると面白くないので、わざと、ずらして説明します。

一つ目は、速く歩け
二つ目は、ちゃんとすること
三つ目は、勇気をもつこと

一つ目の速く歩け、とはもちろん比喩です。しかし、なんでも即決していくこと。悩んでいるんだったら、悩んでいますと連絡するだけでもいいのです。速さは、なににより勝ります。ダラダラやって、何も進まない組織がありますね。だからベンチャーが勝つのです。100点よりも、速い60点のほうがはるかに優れています。

それと、二番目ですが、ちゃんとすること。これって驚きでしょうが、社会で働くと、多くのひとがちゃんとしていません。たとえば、三つの質問事項があるのに、返信を読むと二つしか答えていないとか。あるいは、返信をそもそもしないとか。「これは勉強しなきゃね」っていうことをちゃんと勉強するとか。ほとんどできないひとばかりです。だから、何か頭角を現したいな、と思ったら、ちゃんとするだけでいいんです。特別な才能は必要ありません。いや、ほんとうなんですって。

三つ目です。なぜ、ビジネスパーソンになると、たとえば会議で発言をためらうことがあります。いろいろなひとに気を使ってしまうのですね。あるいは何かを発表する場とか、もしくは、行動するとき。これは自信をもっていいますが、相当に大胆なことを言ったり、やったりしても、ほとんど何も起きません。私も「ここまで言っていいのかな」と思うことはあります。でも、コミュニケーションとは、すなわち勇気のことです。

繰り返します。勇気をもつことです。せっかく生きているのですから、なんか面白いことやりたいじゃないですか。

明日からの健闘、お祈りします。

(了)

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