今どきのサプライヤー訪問を考える(牧野直哉)

引き続き、今どきのサプライヤー訪問です。

(3)表敬訪問「だけ」では費用対効果が確保できない

冒頭に申し上げますが、表敬訪問をすべて否定するわけではありません。でも、よく考えて見てください。「表敬」です。訪問先であるサプライヤーに敬意を表さなければなりません。それでは、バイヤー企業であり調達・購買部門がサプライヤーへ敬意を示すのは、どんな状況でしょうか。

それは、発注内容が正しく理解され、バイヤー企業の事業運営にサプライヤーが貢献されたと実感を得たられた瞬間であるはずです。したがって、コストダウンや納期遅延解消といった具体的な成果あっての表敬訪問でなければなりません。

したがって、サプライヤー訪問に要するコストを、訪問の度に試算します。企業の現場では、出張旅費や出張者の人件費は予算化されているはずです。しかし、サプライヤーによって得られたメリットと対比するためにも、訪問に要した費用は必ず算出しましょう。そんなに詳細でなくても構いませんし、サプライヤー訪問に要した旅費は精算するはずですよね。なので「今回の訪問で発生した費用はいくらくらい」を理解します。

① 往復交通費
② 日当(社内規程によって)
③ 宿泊費
④ 出張者のレートと工数(発生分)

私が大阪のサプライヤーを訪問する場合、かつて勤務していた企業では、こんな数値になります。

① 往復交通費 28280円(自宅最寄り駅~新横浜経由、新大阪まで)
② 日当 無(発生費用実費、昼食代1000円、サプライヤーへ手土産1000円)
③ 宿泊費 無(日帰り)
④ レートと工数 @6600円×8時間(1日)

合計 ¥83,080円

出張者が二人になれば、②を除けば2倍になります。こういった数値があれば、どの程度のメリットが必要か?についての基準になるはずです。もし、すでになんらかのメリットがえられているのであれば、サプライヤー訪問も大手を振って行けますね。こういった費用を先行投資と考えておこなう場合もありますね。新たなサプライヤーを訪問する場合は、発生費用がすべて先行投資です。投資ですからリスクがともなうのはやむを得ません。しかし、費用対効果を全く考慮しないのではビジネスではありません。サプライヤー訪問費用を「投資」と考えて、どの程度のリターンが得られるかを試算してサプライヤーに赴きます。

(4)工場訪問を「起点化」する方法

先行投資的なサプライヤー訪問で、訪問に「意義」を見いだすためには、過去の経緯を踏まえて、進むべき将来への「起点」化が有効です。バイヤーとしての将来的な活動に役立つ「起点」としての訪問意義には、次の5つがあります。

① 営業パーソン以外のサプライヤー担当者を知る
② 発注内容の実現性確認
③ サプライヤーと共同しておこなう将来活動の起点(キックオフ)をおこなう
④ サプライヤーへの重要課題の投げかけ
⑤ 購入条件の交渉

この5つについて、皆さんにとって重要なサプライヤーに対してすべて行うと仮定します。①~⑤の順番にサプライヤー訪問を、短くて1年程度のタイムスケールで行う計画を立ててみます。これだけのアクションには、相応の準備が必要です。もしあなたが管理職であれば、配下のバイヤーへ①~⑤の実施計画を立案させてみてください。テーマが少しズレますが、サプライヤー訪問を切り口に、サプライヤーマネジメントの実践へとつながってゆくはずです。

今回述べた内容は、サプライヤー訪問をバイヤー企業にとって好ましい変化に活用するための方法論です。サプライヤー訪問時の実務とは外れる内容ですが、サプライヤー訪問や、工場見学も、サプライヤーマネジメントとのリンキングがなければ、意義あるモノにはならないのです。

(つづく)

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