ほんとうの「プレゼン」の話をしよう(坂口孝則)
プレゼンテーションとは何か。このような簡単な問いを立ててみる。そうすると、そもそも何のためにプレゼンテーションを行うのか、という問いに戻らざるをえない。
考えてみるにプレゼンテーションの目的とは
・何らかの主義・主張・意見を、聴衆者に知らしめ、
・それによって聴衆者の思考に変化を与え、
・明日からの行動や決断に影響を与える
ことになる。
プレゼンターにあてはめると、
1.プレゼン手法が優れていること
2.驚き・感心・気づきをもたらすコンテンツになっていること
3.具体的変化(アクション)のヒントが盛り込まれていること
が必要となるだろう。
ここで2.と3.を語ることはできない。読者のプレゼンのコンテンツやアクションのヒントについてを網羅的に語れるはずはないからだ。
しかし、1.はある程度のヒントを与えることはできないか。私のプレゼンを聴いてくれた人がこの読者のなかにもいるかもしれない。その優劣は聴衆者にお任せするしかない。ただ、ここでは、私が効果的だと思うコツについてお話ししたい。
しかも、それは誰でも明日から始められる。私は何を重要視しているか。笑わずに聞いていただけるのであれば、それは「立ち位置」だ。
このような場合に、「プレゼンターはどこに立つべきか」と問われる。上の図では、聴衆者から見て、右側にプレゼンターが立っている。結論から話そう。私は上図のとおり、プレゼンターは観客から見て右側に立つべきだと考えている。もっと正確にいえば、プレゼンを開始して、冒頭の問題提起箇所を話しているときには右側に立つべきだと考えている。
どういうことだろうか。下の図を見てもらいたい。
私は「正確にいえば、プレゼンを開始して、冒頭の問題提起箇所を話しているときには右側に立つべき」といった。なぜか。それは、プレゼンターが問題的提起をする際には、聴衆者の左脳を使ってもらいたいからだ。聴衆者の右側に立てば、聴衆者の左脳が動き出す。もちろん、右脳と左脳を分離して語ること自体が、エセ科学と非難されるべきものかもしれない。ただ、これはあくまで私の経験則から導かれたものである。
話を続けよう。そして、提起した問題の解決策を提示するときには聴衆者の左側に立つ。そうすれば、聴衆者の左脳で処理した問題を、聴衆者の右脳で受け入れてくれる。右脳はやや突飛で、「超」論理的なことも摂取できる。
私のプレゼンを聴いてくれた人は、妙に私が動きまわることに気づいただろう。それは、問題提起と解決案提示をわけていたからにほかならない。
一つのプレゼンのなかで、いくつかの問題提起をするのであれば、下の図のようになる。
説明は省く。右と左を交互に繰り返すのだ。これによって、聴衆者は理解を深めるだろう。少なくとも私はこうやっている。「信じるか信じないかはアナタしだい」ではあるけれど。
冒頭であげた1.のうち、かなり妙なテクニックを披瀝したと読者は思われるかもしれない。もちろん、この「動き」とともに必要になってくるのは2.でもあり3.でもある。同時に聴衆者を変えたい情熱も必要だ。
バイヤーは周囲を巻き込み変化をもたらす存在だとしたら、プレゼンスキルの向上は欠かせない。折にふれて、プレゼンの話を続けていこう。