ほんとうの調達・購買・資材理論「調達関係者に絶対に役立つ統計講座5回目」(坂口孝則)

さて前回、相関分析について学んだ。

今回は、その相関分析の続きだ。ただ、前回のものをお読みでなくてもわかるようにしたい。

まず、今回のエクセルファイルはこれだ!

http://www.future-procurement.com/z109.xlsx

ところで相関分析ってなんだっただろう? それは、何かと何かの数字に連関性があるかを見るものだった。

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前回は、ネジの図面重量と見積価格の相関(連関性)を調べてみた。重量と価格をグラフ化して、線を引いてみた。

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くわえて、この線の各種データをExcelの関数でも計算できるようにしたよね。

・直線の傾き
・切片
・相関
・決定係数

それで、今回はやろうとしている分析が正しいかってことと、(調達・購買業務で使える)未知のデータを使って価格を予想してみよう。

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まずね、上のExcelシートをダウンロードしたあとに、「データ」→「データ分析」→「回帰分析」を選択してほしい。「回帰分析」なんて難しい言葉わからない? 大丈夫だよ! 私たちは実務家だから、言葉の意味じゃなくて、ツールの使い方さえわかっていればいいんだ!

んで、「回帰分析」を選択すると、yとxを指定しろという。

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それと、「一覧の出力先」だ。この「一覧の出力先」っていうのはね、Excelが計算してあげますから、その結果をどこに表示しますかってこと。適当なセルを指定してほしい。

そうすると、

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こういうのが出る。

混乱しないで。重要なのは、黄色で塗ったところだ。

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上から見てみよう。「重相関 R」「重決定 R2」っていうのはね、前回やった「相関」と「決定係数」だ。まあ、厳密には単語の定義は違うけれど、そこまで覚える必要はない! 実際、前回に手計算した数値と一緒だよね!

それで下を見てほしい。ここに、「有意 F」っていうのがある。これもね、難しくは説明しない。端的にこう覚えてほしい。この値が小さかったら、この場合は重量と価格の二つがちゃんと分析できているよってこと。つまり、重量が価格と関係があって、前回に引いた直線を使ってもオーケーってことだ。

ここに、「9.79E-21」って書いている。なんだこりゃ!セルの中を見ると。「9.79486587363468E-21」ってある。これは、「9.79486587363468×10のマイナス21乗」、つまりものすごく小さな数だ。「値が小さかったら、この場合は重量と価格の二つがちゃんと分析できている」わけだから、オーケーだ! これも乱暴にいってしまうと、0.05=5%よりも小さな値だったらオーケーと思おう!

・ちょっとだけ詳しく知りたいひとのために

さっき、5%よりも小さかったらオーケーといったよね。これを少しだけ解説する。前回、線を引くときに、直線を引いたと思う。あれは「最小自乗(二乗)法」ってやつで、各データと線までの距離がもっとも短くなるような計算をするんだ。

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それで、自分がサンプルとしてExcelに入力したデータを分析するんだけれど、このネジのデータってすべてじゃないよね。つまり、ネジっていうのは無数に造られているんだけれど、そのうちの一部を分析しているはずだ(その会社のすべてのネジを分析するなんて……できないよね?)。

このとき、たまたま間違ったサンプルだけを分析している可能性がなくはない。つまり、外れ値だけをとりあげて分析している可能性がなくはない。やや難しくいうと、母集団のうち、例外的なものを標本として採用した可能性がありうるわけだ。そんで、さっきの、「有意 F」っていうのが、0.05=5%よりも小さな値だったら、その可能性は5%未満だってこと。つまり、間違ったものをたまたま採用している確率は低いってことだ!

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だから、これ以降は安心して(?)分析を進めていい!

あとは、任意の重さを指定して、価格を予想してみよう。Excelには、予想値が「M28」「N28」セルと「M29セル」「N29」セルに載っている。これはセルの計算式を見てもらえればいいけれど、「M28」「N28」セルでは=forecast()という関数を使っている。=forecastっていうのは、文字通り予想だ。まず、重さを指定し、価格と重量を指定する(ええい、よくわからないだろうから、Excelファイルを見てくれ!)。

もう一つの「M29セル」「N29」側では、切片(固定費)と傾き(変動費率)を指定して、手計算で試算している。結果はあたりまえだけれど、同じだし、同じにならねばならない。

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これで、データを相関分析し、未知の重さについても価格を予想できるようになった。ここまでくると統計学はもっと面白くなってくる。

(つづく)

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