会社を設立してからの地獄の日々~連載⑫(坂口孝則)
現在、私はコンサルティングでさまざまな地方に行きます。何をするか、課題をいただき、それを考えるというものです。つまり、考えや発想を売り物にしています。よく「コンサルタントは口だけで稼いでいいね」といった批判がありますが、そのとおりで、たいていのひとは廃業していきます。
私はずっと「調達・購買」なるものに関わってきましたので、触れ合うのは、バイヤー、サプライヤといったひとたちでした。そして、このところ、士業とかコンサルタントといわれる職種の方々がくわわりました。まったく私は信じられないのですが、多くの方がやせ我慢していて、ほとんど食えていません。会社員に戻ったほうがいいのではないかと思います。
しかも、そういうひとほどパーティーとかが好きで困ります。さかんに話しかけられても、あまり、私に実があるかというと、そうではありません。ある立食パーティーで、中小企業診断士の方々とお話しました。聞いてみると、「毎月、あれこれと案件がある」らしいのですが、計算すると、20万円くらいにしかなりません。新卒の正社員とおなじです。ただ、まだ始めたばかりだから、とおっしゃる。しかし、そこになんら戦略性を感じることはできませんでした。経営をコンサルティングしているのに、ご自身の仕事が上手くいっていないのです。
コンサルティングのような変動費がかからない仕事にとっては、コストは自分の給料です。ざっとですが、こう思ってもらえばいいと思います。1500万円の売上高があって、年収1000万円のサラリーマンと同じくらいではないでしょうか。経費がもろもろ計算できるためです。しかしできれば確保したいのは2000万円くらいで、それで1000万円相当かな、という感じです。
2000万円を販売しても、多くのコンサルタントや士業は、不安と向き合っています。いつ仕事がなくなるかわからないのです。しかし、会社員ではない以上、不満は少ない状態にあります。ですから、人生の選択は不安か不満なのです。
読者で独立志願者がいたら、計算をしてみてください。2000万円ですから、月の売上が160万円です。それで月に20日稼働するのであれば8万円が一日あたりの売上になります。それを支払ってくれるお客さんはいそうでしょうか。もちろん、これは一例ですから、160万円を分解していってください。
①160万円×1回
②40万円×4回
③1万円×160回
などです。①はがっつり、一社をコンサルティングで入って月度契約としてもらうパターン。②は企業研修で4回。③はビジネスDVDを160本くらい販売するパターンです。これ以外にもさまざまなバージョンがあるでしょう。
しかし、コンサルタントといっているにもかかわらず、やはり計算をせずにひたすらやっているひとが多いようです。また、多くのコンサルタントは勉強をしません。本すらろくに読んでいません。実践で得た限られた知識(これはもちろん重要ではあります)と、過去の経験だけで生きているのです。
おそらく私も、若い奴らからそういわれるかもしれません。ただ、いまのところその兆候はなさそうです。1年くらい地獄の状況になる覚悟さえあれば、調達・購買コンサルタントも悪くありません。とくに40代までの若い方ならば、きっとチャンスがそこらじゅうに転がっています。
<つづく>