サプライヤー分析 6(牧野直哉)

今回は、サプライヤー分析に必要な情報源をお伝えします。入手する情報と、□以下は確認するポイント、→以下は、サプライヤーへの問い合わせ内容、●以下は判断するポイントです。

【サプライヤー基本情報】
・サプライヤーの会社案内【新規】
□ いつ作成されたか
□ ネット上の情報の更新頻度
→「最新状況との相違点はありませんか?」

□ 顧客リスト  ~自社との共通点、相違点(=価値観)を探る
□ 購入先リスト ~系列や資本関係の確認
□ 設備リスト(工場レイアウト)
→「最新の設備はどれですか?いつ導入ですか?」
「御社の主要顧客を教えていただけますか?」
「当社にはどの設備を使用するのですか?(リスク顕在時に活用)」

●発注するかどうかを判断するために、依頼内容が対応可能かどうかを、サプライヤーのリソースで判断する
●発注できるかどうかを「顧客」で判断する
●自社(うち)には、どんな設備(リソース)を活用するのか、を掌握する
→設備破損時の影響度合い判断
工場全壊→超大変!
一部損壊→早期再開に期待ができるかもしれない、すぐに確認を!

【サプライヤー基本情報】
・財務諸表(上場企業はEDINET http://disclosure.edinet-fsa.go.jp/ )
【新規】【継続】
□ 複数年(3年分)による変化点の確認
□ 「事業の状況(課題とリスク)」

・商業登記簿(正式名称 登記事項証明書) 【新規】【継続】
□ 「全部事項証明書(謄本)」「履歴事項証明書」
□ 非上場企業
□ 役員欄
□ 目的欄 ~発注内容に合致しているか
□ 他の入手情報と比較して確認する

→「なにか、ここ数年で大きく変わった点はありますか?」
「御社には、どんな事業運営上のリスクがありますか?」
●サプライヤーの「戦略の変化」を理解する
●サプライヤーが直面する「リスク」を理解し対応要否を判断する
●サプライヤーのバイヤー企業が直面するリスクは
「これからも継続して供給してもらえるかどうか」視点で判断する

【日常業務】
・提案資料(見積書)
□提案内容、見積内容の、依頼に対する充足度合い
□作成に要した時間(依頼~回答日、短いほど「良」?)
「良」:対応に前向き、準備ができている
標準化できている?ちゃんと依頼を網羅しているか
→どの程度の日数が「適切」なのか、バイヤーが掌握しているか
バイヤー企業の「説明力」は的確か?

・RFx履歴
①RFI (Request for Information) 情報提供依頼
→「御社は何ができますか?当社に提供できますか?
●「何でもできます!やります!」は、何もできない証
②RFP (Request for Proposal) 提案依頼
→「何か購入できる製品をご提案(御紹介)できますか?
●サプライヤーがバイヤー企業を理解しているかどうかを確認
③RFQ (Request for Quotation) 見積り依頼
●提案内容に加えて、価格情報を入手する
●①→②→③の順番で、取引実績のあるサプライヤーにもおこなう

【自社データ】
・自社内の発注履歴
□発注金額(アイテムごと、サプライヤーごと、カテゴリーごと)
□発注アイテム数(製品ごと、サービスごと、カテゴリーごと)
□複数年データによる経年変化の確認
→金額、アイテムの増減
●変化が確認できた場合、担当バイヤーの意志によって起った変化なのか
それとも、何か需要側に起因する変動があったかを確認する
●アイテム→サプライヤー→カテゴリーの順で、個別から全体間を網羅する
●カテゴリーはできれば2つ
①購入製品特性(買うモノ基準)
②販売製品特性(売るモノ基準)・・・重要!

・納品履歴
□納期遵守率
□平均リードタイム
□不良率(サプライヤ→バイヤ企業への流出)
□クレーム率(バイヤ企業→顧客への流出)
□不良やクレームにともなう社内投下費用
●発生した問題は、発注方針に反映させる(転注、発注数増減)

【マスコミ、外部リソース】(※は有料)
・新聞、雑誌、業界紙※
□大手新聞
□専門紙(日刊工業、日経産業、業界誌(新聞/雑誌)
→報道内容の「真意」を読む
「キャノンの工場国内回帰報道」
-円安によって、海外生産が国内に回帰する
-あたかも「国内に雇用が復活する」的な文脈による歓迎ムードで報道
-実は「無人工場」=国内の雇用は単純に増加しない構図
・決算報告書(上場企業はEDINET http://disclosure.edinet-fsa.go.jp/ )
□業績をどのように伝えているか
□高業績時:原因分析ができているか
□業績悪化時:原因は深刻ではないか
・IR情報(年次報告書、CSR報告書等)
□企業の「魅力」をどのように伝えているか
□「魅力」と発注内容は合致しているか、それとも違うのか
→違いは「リスク」となる可能性が高い
・調査会社※
□帝国データバンク、東京商工リサーチ、富士経済
・コンサルティング会社■

<つづく>

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