量産効果を考えようパート1(坂口孝則)
個別生産企業においては、大量生産企業と異なって、調達品の発注個数が1個とか2個とかが普通です。何十万個という発注量は、ほとんどありません。
これまでの調達・購買業務の教科書は、どちらかといえば大量生産企業で理屈づくられたものでした。だからこそ、少量生産企業からすると「これはいったいどこの世界の話だ」と思ってしまうわけです、
少量生産企業からすると、これまでわずか2個しか発注していなかったものが、4個になれば、だいぶ多くなった印象です。だから「発注量が倍になったから見積り価格を下げてください」と交渉したいわけです。
しかしところで、この少量生産企業の場合、発注量が倍になったら、どれくらい下がると思ってよいのでしょうか?
まず繰り返し生産をしているうちに作業効率が向上する場合は、「経験曲線」を使って分析することができます。
そのとき注意しなければならないのは、発注ロットを使うのではなく、これまでの累積生産数量で分析することです。ただ、これは直観的には理解できるはずです。
これまで発注した量が増えるほど、作業効率が向上するのは間違いありません。コストは下がるはずです。
目安ですが、こう考えて間違いありません。
製品のコストを……。
・材料費
・労務費
・設備加工費
・金型費
・経費、利益
とわけると、作業性が向上するのは、このうち「労務費」「設備加工費」と考えられます。まず、それを分離することからはじめましょう。教科書によっては、数量が増えれば、コストがまるごと下がると書いているものがありますが、あきらかに雑すぎです。
そこでの概算は次の通りです。
・累積生産量が倍になればコスト(「労務費」「設備加工費」)は0.8倍になる
・累積生産量が4倍になればコストは0.8×0.8=0.64倍になる
・累積生産量が8倍になればコストは0.8×0.8×0.8=0.512倍になる
次回は、このコストを計算するファイルを紹介します。
<つづく>