バイヤー現場論(牧野直哉)

3.バイヤー流 手荷物選定方法

出張する期間と出張先によって、持って行く荷物も異なります。持参する荷物は、かなり個人差がでます。ここでは出張先で忘れた!と慌てないような手荷物の選定手順と、持参する方法、またこれは便利!といったアイテムを御紹介します。

①自分専用の「持ちものリスト」を作成する
出張先に持参するアイテムは、あからじめリスト化しておきます。基本的に日帰り出張でも、一定期間の海外出張でも、業務に必要となるアイテムに変化はありません。ポイントは、出張中にどんなアウトプットが必要になるかの事前想定です。日帰りであれば、オフィスの仕事は保留すればいいでしょう。しかし長期間の出張の場合、オフィスの仕事をそのままにできません。したがって、出張期間に、自社と出張先でやるべき仕事をベースに、持参するアイテムを選定します。

パソコンがあれば、メールも送受信も可能ですし、さまざまな資料の作成も可能です。また携帯電話を加えると、かなりの業務が出張先でも対応可能になります。円滑な出張は、出張先でのパフォーマンスに加えて、不在中のオフィスの仕事を、出張を理由に止めないといった要素も重要です。数十秒で判断して、返信まで完了するのであれば、出張先から対応する姿勢をもち、対応可能とするツールは準備します。

インターネットの接続環境は、世界的に見ても日本は良好です。最近では国内で使用している携帯電話のデザリングが、そのまま海外でも可能になっています。しかし料金は1980円~2980円/日です。今や、インターネットを活用した情報収集は、極めて日常化していますので、何らかのトラブルで接続できない事態は、大きなストレスです。特に海外出張で、現地滞在が3日を越える場合は、現地で使用可能なWIFIルーターのレンタルをオススメします。複数の機器接続が可能ですし、日本国内で使用している携帯の海外パケホーダイに比較するとかなり安く抑えられます。

②出張先で活用するモノ
持参品を選定する場合、私は出張先で購入できるかどうかを念頭に置いて検討します。万が一忘れてしまっても、どうしても必要であれば出張で購入できるかどうか。私は海外出張の場合、国によってレンタカーを借りて自分で運転するかどうかを決めています。レンタカーがあれば、時間を調整して現地で必要なアイテムが購入できます。また、レンタカーがなくても都市圏に出張し、訪問先や宿泊先の近隣にスーパーマーケットやモールがある場合も同じです。レンタカーもなくて、近隣にお店が無さそうな場合は、しっかり日本から持参する準備をします。国内の場合は、最低限の持参品にとどめます。困ったら「購入すれば良い」と割りきります。

③スーツケースの進化に注目する
私が現在使用しているスーツケースはPathfinder製です。1996年に購入したので20年使っています。とても丈夫で壊れない半面、カバン本体だけで10kg近い重さがあります。以前は、少々カバンが重くても、飛行機に預けられました。最近では、かなり厳格に荷物の重さを量って、重すぎる場合は超過料金を請求されます。

スーツケースの重さと強度は、かつてトレードオフの関係でした。軽いスーツケースやバックは弱い。しかし最近は、軽量で強い素材の登場によって、驚くほどに軽いスーツケースが多数登場しています。一週間の出張を想定したスーツケースでも、3~4㎏の製品が多数登場しています。出張の頻度が多ければ、こういった高機能なスーツケースを活用して、快適な出張をおこないます。

どんな出張先でも、必ず持参するアイテムは、次の通りです。

(1)赤いバインダー
出張先の仕事で必要な資料をまとめる機能と、どんな場所でもメモするときの下敷き、そして「赤」は、持っている人間を目立たせる目的です。訪問先の工場によっては、視認性が悪い場合もあります。その場合、普通のバインダーだと目立たないので、赤のバインダーを準備します。機能性と安全性を追求した結果です。

<クリックすると、別画面で表示されます>

(2)ソケット
かつて海外出張する際は、200Vを100Vに降圧する電源トランスを持参していました。最近電化製品の電源は、ほぼ240Vの入力に対応しています。しかし、ソケットの形状の違いに対応するアダプターは必要です。組み合わせで世界のプラグ形状に対応できるアダプターも販売されていますので、海外出張する機会の多い方は、準備しておくと便利です。

<クリックすると、別画面で表示されます>

(3)USB電源(マルチタップ)
パソコンと携帯電話、デジタルカメラは、出張先で仕事をするときに必要なアイテムですが、それぞれに電源ケーブルがあるのが悩みの種です。そういった悩みを解消してくれるのがUSB用の電源です。ケーブルだけの持ち歩きで済みます。これを(2)のソケットに装着して現地の電源タップに接続すると、パソコン、携帯電話が同時に電源へ接続できます。加えて、デジタルカメラやWIFIルーターも接続可能です。

<クリックすると、別画面で表示されます>

③業務以外で活用するモノ

短期間の出張はさほど心配する必要もありません。しかし数日の宿泊をともなう海外出張の場合は、移動やホテル、食事の違いによるストレスを上手に解消するアイテムも準備します。この部分は、これまで出張へ同行した同僚達を思いうかべても、非常に個人差が激しくなります。初めての海外出張では、こういった準備をおこない、使わなければ段々と減らしていっても良いと思います。

(1)リラックスできる服装
テレビドラマのイメージでしょうか、海外出張に出発する空港でスーツを着て出掛ける人を目にします。スーツでもリラックスできたり、余計な荷物を増やしたくなかったりといった理由があれば別です。出張先へ到着してそのまま仕事でない限り、リラックスできる服装を選択します。出張先や出発時間にもよりますが、海外出張で出発した日に、そのまま仕事をしなければならない場所は、近隣の国や時差の関係でごく限られます。また、業務にスーツを着る習慣も、製造業に限っては日本以外で目にする機会はほぼありません。したがって、ビジネスカジュアルといった少し緩めの服装を選択し、機内ではリラックスして余計なストレスをためない工夫をします。

(2)ジャージと水着
海外のホテルに宿泊すると、宿泊者はトレーニングジムやプールが無料で利用できます。プールにジェットバスがあれば、つかるだけでも一日の疲れを癒やせます。トレーニングジムのランニングマシンで数分間走るだけでも、心身ともにリフレッシュされます。出張は、ふだんとは異なる環境で仕事をしますので、いつもより疲れがたまりやすくなります。十分な睡眠を取りたくても、時差ボケで眠れないときは、少し泳いだり、軽めの運動をしたりして気分転換するためにジャージと水着を持参します。

(3)携帯できる日本食
出張先でホッとできる数少ない瞬間の一つが食事のひとときです。しかし、国や地域によっては、日本と大きく違う食文化もあります。海外出張で、しっかり仕事ができる人の条件は、現地食が楽しめるかどうかが重要なポイントです。そんなとき、サポートしてくれるのは、携帯できる日本の食品です。常温で保存できる食品で、出張人持って行くオススメの食品は、インスタントの味噌汁や、一回分にパックされたしょう油です。

出張の荷物はできるだけ少ない方が機動的です。ふだんと異なる環境での仕事は、どうやって起こりうるトラブルを回避するか、トラブルに遭遇したときに、どうやってカバーするか、そして最後は潔い諦めです。例えば、東京から大阪への移動を想定します。何らかの理由で飛行機が欠航し、再開まで時間を要する場合は、新幹線の移動に変更が可能です。しかし高速の移動手段が2つ以上ある場合など、ほぼありません。移動後に予定が入っている場合もあるでしょうが、やむを得ない事情ですから、安全な移動を確保した上で、挽回(ばんかい)策を検討するべきです。

(つづく)

無料で最強の調達・購買教材を提供していますのでご覧ください

あわせて読みたい