バイヤー現場論(牧野直哉)
4.部門内で打ちあわせるとき
同じ調達・購買の仕事をして、部門目標を達成しなければならない同僚は、助けあって協力する関係を作らなければなりません。職場の人間関係は、仕事の充実を感じられるかどうかの大きな要素です。そしてもっとも重要な点は、自分の行動が大きな影響を与える点です。職場の雰囲気を改善するために、部門内の打ち合わせの活用法を学びます。
①メールと声掛けの合わせ技
インターネットを活用したメールの普及は、ビジネス上のコミュニケーションの実現に大きく貢献した半面、同じセクション内で、となりに座っていても、メールでやり取りをするといったケースが問題点として指摘されています。メールはツールなので、万能ではありません。使いこなす側での工夫が必要です。
メールを使用するメリットはなんでしょう。自分が伝えたい内容のすべてをメールに書けば、相手のパソコンやスマートフォンに届きます。話をするのが苦手な場合は、非常に便利なツールです。便利さを実感するために必要なスキルは、書きたい内容を、端的に表現する能力です。大好きな相手からのメールは、たとえ長文であってもどんどん読みすすめるかもしれません。でも、仕事のメールは、シンプルに要点を伝える「技術」が必要です。
また、メールの最大のデメリットは、読むかどうかを相手に依存してしまう点です。メールを受け取った側が注意深く確認しているつもりでも、読み忘れが起こります。この点は、メールを使用する際に強く意識し注意しなければなりません。
このようなメリットとデメリットを踏まえて、隣に座っている同僚にメールを送る場合は「今、メールを送ったので読んでください」と一言、声をかけます。相手から反応があれば、その場で話をする=打ち合わせに展開させます。
②短時間開催を強く意識する
部門内の打ち合わせは、できるだけ短時間で終わらせます。短時間で終わらせるためには、打ち合わせをおこなうスペースに工夫をします。企業によっては、フロア内に打ち合わせ用のスペースがあります。短時間開催を意識するなら、椅子すら置かずに、ホワイトボードや、液晶モニターだけを設置します。打ち合わせは、その周囲に集まって、立ったままおこないます。
会議や打ち合わせが長時間になる理由は、事前準備や議事進行のファシリテーション能力の未熟さと、椅子が原因です。最近ではパソコンを持ちこんで、会議に出席しながら、メール処理をおこなっているケースもあります。状況を理解して、認識を共有する。あるいはなんらかの意志決定に、椅子は必要ありません。それよりも、出席者が同じテーマに目をむけ、理解し、考えて、決定する行為が必要です。こういったサイクルを速く回すためにも、居心地の悪い環境でおこなえば、短時間で終了するのです。
③できるだけ多く
短時間開催を意識する理由のもう一つは、必要と思ったタイミングを逃さずに開催する点です。後でやろう、今度やろう、ではなく、思いたったその瞬間に開催します。しかし、思いたった瞬間に、話をしたい相手が席にいないといった状況もあるでしょう。そういった場合は、朝一番とか、昼休み明けといった、全員が集まっている可能性が高い時間に、声掛けし、やってしまいましょう。事前準備に加える重要なポイントとして、午後一番で訪ねてくるサプライヤとの約束の時間を、13:10にするといった工夫を部門内でおこないます。
(つづく)