ひとの頭を良くすることはできるのか(坂口孝則)

身も蓋もないタイトルをつけました。ズバリ、「ひとの頭を良くすることはできるのか」です。偽悪的にいえば、「すくなくとも頭が良いと思われる方法はあるのか」としましょう。もちろん組織にあっても、頭が良いと思われるにこしたことはありません――よね。雰囲気と籠絡術でのしあがるひとがいますけれど、別にそのひとだって頭が良いとさらに高みに登れるでしょう。

しかし、この頭が良い、とはどういうことか。それは他者と話しているときや会議などで、「的確な発言ができ」さらに「他者が考えつかなかった視点を提供でき」また「結論を適切に導き、今後の方針を明確にする」能力、と定義しましょう。もちろんさまざまな定義はあるでしょうけれど、ここではビジネスパーソンに求められるものとして、そう定義したわけです。

そこで私はすべての方法をツールに落とし込める(落としこむべき)と考えていますので、このようなテンプレートを作ってみました。このテンプレートで、事象にたいするコメントをすべて把握しようとするものです。

http://www.future-procurement.com/comTEMP.pdf

ひとの頭は一瞬では良くなりません。が、訓練しだいで、訓練を重ねることできっと頭が良くなると信じる価値はあります。そこで、このテンプレートを使って、殺人事件について何かコメントを考えてみましょう。まあ、なんだってよかったのですが、ここではわかりやすく、一般的な事件を元にしました。たとえば、86歳の祖母が3歳の孫を殺してしまった事件があったとします。

すると、問題を設定します。そこでここでは、「この殺人事件は防止することができたのか」にしてみます。

まず軸は、「この殺人事件は防止することができたのか」にたいして「NO」か「YES」かです。「NO」といっても、「手段がまったくない」のか「手段はあるけれど現実性がないか」によって異なります。このテンプレートが優れているのは、自分の思考うんぬんにかかわりなく、強制的に意見を出させることです。そこから枝葉の理屈をつけていきます。これはビジネスの現場でもおなじですが、複雑怪奇なものだから会議をしているわけです。「はいよ、これはこうすりゃいいね」と一瞬でわかるようなものは、そもそもコストをかけて議論する必要もありません。「あっちかな? こっちかな?」と判断がつかないなかで、なんらかの方向性を決める必要があります。これを意思決定と呼ぶのです。だからテンプレートでは、さまざまな意見や考えを抽出していきます。そして多くの価値観や施策のなかからベター(ベストではない)を導きます。

ここで、こう書いてみました。

http://www.future-procurement.com/comTEMP2.pdf

どうでしょうか。こう無理矢理にでも書いてみると、物事の多面性がよくわかりませんか? そしてこの訓練をすることこそが、徐々に頭を良くする方法だと思います。莫迦なひとは大抵の場合、自分の思い込みから自由になっていませんから……。

(了)

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