文章講座なう(牧野直哉)

先日、「ビジネス著者とその予備軍のための半日(4時間)で文章力が向上するセミナー」に出席しました。今回のセミナーは、座学だけでなく、事前にテーマ(2つ)に沿った文章を提出し、4名の編集者が文章の良しあしを判断してくれました。

今回、2つの課題で、編集者から厳しい評価だった私の文章を公開して、指摘内容も合わせてお送りします。

●テーマ:現在、さまざまなところに自動販売機が設置されています。この自動販売機についてビジネスや自分自身の考えを含めたエッセイを書きなさい。

☆想定媒体:男性向け商業雑誌。
☆文字数:余白含め1400文字以内(もっとも一般的な雑誌の1ページ文字数です)
※中身には無記名でお願いします。
※「エッセイのタイトル」と「氏名」をファイル名につけてください。

●私(牧野)のエッセイ

 いつも駅や街角の自動販売機で飲み物やたばこを買っています。欲しい物がすぐに手に入るのは便利です。日本全国に設置された自動販売機は約500万台(2013年度末時点)です。「便利さ」を売りにするコンビニエンスストアが約5万店(2014年7月末時点)ですから、設置台数の多さがうかがえます。都市部であれば、のどの渇きを感じる前に、たくさんの飲料を売る自動販売機を目にします。欲しい物が苦労せず手に入るのは物質的な豊かさの象徴です。しかし、現在の自動販売機には課題が多いと思っています。たとえば、自動販売機の機能、いったいどこが「自動」なのでしょう。顧客にとって今の自動販売機は少しも「自動」ではありません。
飲み物をコンビニエンスストアと自動販売機で買う際の顧客の行動を比較してみます。コンビニエンスストアの場合、お店に入って、商品を選び、商品を手にとってレジへ向かい、代金を支払い、商品を受け取ります。一方、自動販売機は、代金を投入し、商品を選んで取り出し口に出てきた商品を取り出します。こうやって比較をしてみると、それぞれ顧客の行動にさほど大きな違いはありません。強いてあげれば、違いはコンビニエンスストア内を歩く距離くらいでしょう。自動販売機では、顧客が選んだ商品を、自動的に商品取り出し口に運びます。でも、顧客に直接渡しません。おつりも、返却口には出しますが、顧客が取り出さなければなりません。商品もおつりも指定場所へ体を動かして、購入者みずからが取り出さなければなりません。「自動」化によってメリットを得るのは販売者なのです。
そもそも「自動」は(1)自然に動くこと。自分の力で動くこと。(2)特別の手続きをしなくても自然に行われること(広辞苑より引用)といった語彙(ごい)を持ちます。世の中にある自動販売機も、自然にみずからの力では動きません。すべて顧客の意思決定に対する販売者の対応を機械が自動的におこなっています。日本をしのぐ772万台もの設置台数を誇るアメリカでは、自動販売機を「Vending Machine」と呼びます。直訳すれば「販売機」です。顧客目線では、アメリカでの名称が機能を正しく表しています。一方、販売者目線では、自分たちの仕事を機械におこなわせているまさに「自動」販売機です。顧客ごとに特別な対応をせず、画一化された決められた動きを自動的におこなっています。自動販売機とは、販売者の対応を「自動」化した機械なのです。
顧客には設置場所の多さくらいしかメリットを感じない従来型の自動販売機。しかし、大きな可能性もあります。最新型の自動販売機では、体形や顔認証によって年齢を類推し、年齢層に適した商品を提案する機能があります。これをもう一歩進めて、顧客が欲しがっている商品を自動で選び提案する自動販売機の開発です。例えば電子マネーのチップに自分が飲みたい商品をあらかじめ登録しておけば、いつでもどこでもお気に入りの商品が自動で購入できるとか、新製品やお買い得品の提案を希望する消費者におこなう機能です。また、商品やおつりの受渡し方法にも工夫の余地が残されています。「ありがとうございました」と自動的に音声を聞かせるだけなく、より消費者に心地よい商品、おつりの取り出し方法の開発です。顧客の設置場所の多さの利便性に加えた「心地よさ」を高める自動機能を兼ね備えた「自動販売機」の登場を心待ちにしています。

●編集者からの評価

1.もっとも「悪い」評価(23名中)
・「そもそも」「しかし」「しいてあげれば」といった接続詞、自分の文章の「癖」「思い込み」は消す
・自分で歌ったカラオケを録音して、後で聞くと恥ずかしい。そのような自分でがっかりしない文章を書く

2.2番目に「良い」評価(他に2人、同順位あり)
・話の展開はしっかりしている

3.2番目に「良い」評価(他に2人、同順位あり)
・文章として弱点はたくさんあるが、それは編集者がカバーできる。
・最後に希望があり、改善のメッセージがある

※残り1名の編集者の方からは、コメントをいただけませんでした。

●私(牧野)の感想

なかなか厳しい評価は貰えません。文章の「ダメ」な評価は、読んでもらえない=感想がもらえない。雑誌に掲載されない、出版されないにつながります。私は、もっとも「悪い」評価で指摘された点を、これから修正します。

(了)

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