プレゼンはこうする(牧野直哉)

前回は、プレゼンテーションマテリアルであるスライド作成時の、最低限の注意事項について述べました。スライド作成に必要なプレゼンテーションソフトの操作方法は、インターネットで検索したり、文献を参照したりしてください。今回は実際のプレゼンテーションについてのお話です。

●最適な伝達手段の選択

「プレゼンテーション」といっても、なにも暗い部屋で出席者が画面を見てとのスタイルだけがプレゼンテーションではありません。そういったいわゆるプレゼンテーションの機会が増えているとは思います。しかし、自分の考えを相手に伝えるとの観点では、TPO(ティーピーオー). Time(時間)、Place(場所)、Occasion(場合)に合わせて、伝達手段の選択をおこないます。

☆配布した書類を参照しながらのプレゼンテーション

あまりプレゼンテーションっぽくありません。しかし相手が少人数で、会場が小さい場合は、画面を投影するよりも、書類を配布する手段が効果的です。メリットは、プロジェクターを必要としないので、内容によってはカフェといった外出時でも問題なく実行できる点です。そして、このやり方は従来の主流でした。プレゼンテーションソフトが使えないので、アニメーションや色使いといった「みばえ」で相手を圧倒できません。したがって、内容が勝負です、

配布する書類は、1テーマ/1枚にします。プレゼンテーションマテリアルを作ったからといって、前ページのスライドのコピーは、日常業務ではおすすめしません。それよりも内容を簡潔にサマリーし、内容に集中してもらうために、できるだけ枚数は少なく!を目指します。「ページをめくる」聞く人の負荷をできるだけ少なくします。

☆プレゼンテーション(画面共有)

基本的にリスナーがすべてPCの画面を見ながらプレゼンテーションをおこなう場合です。この画面共有には、有料のサービス(CISCOのWebEx http://www.webex.co.jp/ )から、一部機能(参加者数)が制限されるものの無料(Skypeの画面共有 http://www.skype.com/ja/features/ )で使用できるサービスまでさまざまなツールがあります。参加者がどんなパソコンで参加するかとのリスクがありますので注意は必要です。しかし、自分のパソコンの画面で読める文字は、相手も読めるだろうとの前提で、字の大きさについては少しルーズでもいいでしょう。

☆プレゼンテーション(会議室・大きい会場)

この場合、私は手元資料の有無によって、字の大きさを変えます。まず、手元資料がない場合は、24ポイント以上のフォントサイズを使います。パワーポイント標準の4:3画面で文字の大きさを表現してみました。フォントはメイリオです。60ポイントは、パワーポイントのデフォルトで表紙のフォントサイズです。

<クリックすると、別画面で表示されます>

手元資料がある場合は、16ポイントまで小さいフォントを使う場合があります。24ポイントと比較してもずいぶん小さくなります。小さなフォントを使う場合は、手元資料のページをわざわざ明言して、小さい文字は手元資料で確認を促します。

会議室やおおきな会場でのプレゼンテーションでもっとも注意すべき点は、投影画面とスクリーンの大きさです。次の2つの画像をご覧ください。

<悪い例:クリックすると、別画面で表示されます>

<良い例:クリックすると、別画面で表示されます>

上記の2つを比べた場合の「みばえ」は明確にご理解いただけると思います。良い例の通り、投影スペースとスクリーンの大きさをほぼ同じ、あるいは少し投影面積を大きくすると、プレゼンテーションがいきなりプロっぽく変貌します。

プレゼンテーションをする会場で、プロジェクターが固定式の場合は、こういった心配はありません。大抵最適な画面サイズに調整されているためです。しかし、例えば調達購買部門にプロジェクターの備品が1台しかなくて、使用する機会ごとに持ち運んで都度設置する場合は、プロジェクター本体の機能ボタンを操作して、最適サイズを設定します。慣れれば数分で調整できます。わずかな調整で、プレゼンテーションの「みばえ」が格段にアップします。もちろん、プレゼンテーションとは、その内容が重要です。しかし「みばえ」の悪さで損をしたくありませんよね。

ここまで、いわゆるプレゼンテーション本には書かれていないようなポイントをお伝えしました。プレゼンテーションはなによりもまず中身、コンテンツです。その上で、これまでに述べたような表現、伝達方法を駆使すると、わかりやすいプレゼンだ、と評価されるはずです。さほど時間のかからない内容ばかりですので、できれば今日から実践する機会を虎視眈々と狙っていただけたら、私にはこの上ない喜びです。

<終わり>

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