自分の人生を予想する方法(坂口孝則)

*今回の方法をご自身の仕事にいかに活かすか考えてお読みください

・あなたはいつまで第一線で活躍できるだろうか?

私の「“とびきりやさしい”ビジネス統計入門」が発売になりました。これまでも調達・購買を逸脱した書籍を刊行してきました。が、これまでのなかでもっとも逸脱した書籍かもしれません。なんたって、統計ですからね。

そこで、私がこれを発刊する経緯で、大変、面白い予想をしておりましたので、シェアします。といいますか、やっと発売時期がやってきましたので、シェアできるようになりました。

実は私は調達・購買の書籍を書きながら、「いつまで続くだろうか」と思っていました。ホンネです。「いつか突然ダメになるかもしれない」とうすうす気づいていてもなかなか動けないのが人間ですよね。だから多くのひとは、気づいたらもう将来がなくなっています。それはあまりに戦略性がないのではないか。

まあ、私が戦略を教えているような人間ですから、自分の人生戦略くらいは構築しようと思ったわけです。そこでズバリ私はこう考えました。「いつまで、自分は同じこと(調達・購買の書籍の発行)を続けられるか」と。

そこで使えるのが、商品のライフサイクル分析です。

みなさんも、このような図を見たことがありますね?

 

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これはウィキペディアから拝借しました(といってもリンク貼り付けです)。商品は、「導入期」「成長期」「成熟期」「衰退期」をといった道をたどっていく、という例のアレです。実は、これは自分の人生にも使えます。

それは二つの意味があります。つまり、自分を商品をとらえたときに、同じくライフサイクル分析ができるという意味。それと、生物学上、人間の才能のピークが存在しうる、という意味。でも、これを知っていれば、「衰退期」に入る前に、自分を変えれば良いですよね? そりゃそこまで上手くいきませんけれど、すくなくとも下り坂になるんだったら、努力しがいがありますよね。

そこで、分析手法として使えるのは、ロジスティック曲線とコンベルツ曲線です。ご存じなくて当然です。一緒にやっていきましょう。そこで、今回のExcelファイルはこれです。

http://www.future-procurement.com/123.zip

会社からはセキュリティの関係でダウンロードできないかもしれません。その際は、ご自宅からよろしくお願いします。

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シート「ブランクフォーム」がありますよね。ここでは松田聖子さんの分析を使ってやってみます。松田聖子さんのCDシングル枚数と発売時期を使います。これは松田聖子さんという商品が、どのように消費されるのか、そして才能がどのように社会に出て行くのかを分析したいからです。

次にシート「松田聖子を例に」をご覧いただけますか? 

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ご注意いただきたいのは、CとD列にはCDシングルを列記しているのですが、それをFとG列には、年度でまとめて処理していることです。これは月度でやっても良いのですが、あまりに多くなるので、年度処理をしたと思ってください。

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次に、「計算値」というところをご覧いただくと「=$B$4/(1+$B$5*EXP(-$B$6*B10))」なる計算式が入っています。これは覚える必要ありません。「こういう式だ」と思っていただければOKです。ただ、ここでお願いしたいのは、(みなさんが自分や他人を分析するときに)セルのB4、B5、B6のところになんでも良いので、初期値を入れてほしいことです。

a:予想数(この例では松田聖子さんが生涯に出すCDシングル枚数。ここではすでに80枚も出しているので、テキトーに100と入力)
b:上記aの十分の一(理由は覚える必要なし)
c:0.5(理由は覚える必要なし)

これで準備が完了です。

・Excelのソルバーを使う

そして、「総和」と書いているところご覧ください。ここは、「計算値と実際値の差」を自乗し合計したところです。松田聖子さんの例では、1980年にデビューして、現在が2014年ですから、そこまでが指定されています(文字の説明が難しければ、Excelのセルをご覧ください)。

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これは小さければ小さいほど良いはずですよね。だって、小さければ、そのひとの人生に合致した理論線を引けるってことですからね。あとはExcelの力を借ります。

・「データ」→「ソルバー」→を選択してください。

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そして、目的セルに(この場合は)セルK10を選択してください。そして、目標値は最小値です(できるだけ小さなほうが良い)。さらに、変化させるセルは、セルB4、セルB5、セルB6を選択してください。そして実行。

これは、「理論と実際の値がもっとも乖離しないような方程式を教えてください」といっているわけですね。

Excelシートではもう一つのコンベルツ曲線も載せています。これは、ロジスティック曲線にたいして、収束するのがやや長めの特徴を持ちます。これも基本的にやり方は同じです。Excelシートをご参照のうえ、おなじくソルバーでやってみましょう。目的セルに(コンベルツ曲線の場合は)セルN10を選択してください。そして、目標値はおなじく最小値です(できるだけ小さなほうが良い)。さらに、変化させるセルは、セルC4、セルC5、セルC6を選択してください。そして実行。

・結果は残酷か真実か

それで出てきたのが、シート「松田聖子」です。グラフ化したのが隣の「松田聖子予想」です。

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松田聖子さんは現在、80枚ものCDシングルを出していますが、Excelがロジスティック曲線としてはじき出した結果は、松田聖子さんは90枚近く、まだCDシングルを出し続ける。というものでした。まあたしかにありえますよね。

ご参考までに、田原俊彦さんは、理論値からすると、「かなり無理している」様子が伺えます。

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もちろんレコード会社と事務所がCDを出そうと思えば出せるので、理論値から外れることもありえます。ただ、いまのスタイルのままで逸脱するのは得策ではありません。もちろん、田原俊彦さんが、イメージと内容を変化させて逸脱するのはOKです。それは、新たな商品ライフサイクルの循環に入ったと評価できるからです。ただ、田原俊彦さんの新曲を聞く限りは、従来の踏襲であると感じました。

それでこれが私です(↓)。ご覧ください。私はビジネス書の発刊点数で実験しました。「“とびきりやさしい”ビジネス統計入門」は25冊目です。理論が提示するのは、「坂口孝則という、調達・購買関連の書き手は25冊くらいで終わる」というものです。これは、「調達・購買」と書きましたが、いわゆる<私的なるもの>と捉えてください。つまり、商品原価だとか、儲けのカラクリ、とかね。

これはショックでした。

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そりゃショックでしょう。もうそろそろ限界が近づいている、というわけですから。これがわかったのは20冊目を書き上げたくらいでした。

私はそこから戦略を練ります。戦略とは、つまり市場に応じて変化することです。自らのネタを変えようとしました。つまり、本業は調達・購買関連でありながらも、もっと違うネタを考えなければ、この成長カーブが終了するのです(グラフは横ばいになっているように見えますが、これはこのあいだ、何も生産できないことを示しますからね)。

そこで気づいたのは、「調達・購買関連のまとめ本」を作るということ。これならば、まさにラストスパートとしていけますよね? だから、「調達・購買の教科書」「調達力・購買力の強化書」などと、えらく人生の総決算的な本を書いたのはそのせいでした。もちろん、私以外の若き書き手がいない業界ではあります--、この調達・購買というところは。だからその意味で、私にまた順番がまわってくるかもしれません。が、しかし、それでも、私はもともとの才能の限界を突破しているわけです。

そうして、もう一つ考えたのは、この分析手法そのものを売れないかということでした。お気づきと思いますが、今回の「“とびきりやさしい”ビジネス統計入門」は、まさにそうした戦略にもとづいて発行したものです。

「調達・購買なる分野があるのに、統計とは、あまり欲張らないで良いのではないですか」といわれましたけれども、「いやいや、企業の商品と同じで、陳腐化をもっとも避けるべきですから」と申し上げました。しかも、私は計算までしていたのです。

ちなみに……。浜崎あゆみさんは、すでに私とおなじく現在のスタイルでは限界に近いという結果でした。

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みなさんはどう思いますか? これはあくまでロジスティック曲線分析にすぎません。が、最近の浜崎あゆみさんにまつわる報道を聞いていると、意外にあたっている気がします。(もちろん、この理論を超えるのが、天才でありますが)

手塚治虫さんは、常に変わり続けてマンガを書きました。だから、他の漫画家が一時代しか生きられないなか、手塚治虫さんは何時代も生き、そして子どもたちを喜ばせ続けました。逆にいえば、手塚治虫さんほどの(私の大学の大先輩にあたります)天才であっても、「変わり続ける」ことでしか時代と対峙しえなかったのです。

私の人生戦略としては、もう一つ考えていることがあります。が、これはおってお話していきます。お楽しみに。

<了>

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