バイヤー会議論(牧野直哉)
●調達の会議ってどんなもの
サラリーパーソンにとって欠くことのできない会議……。これ、本当でしょうか。前回出席した会議を思い出してください。有意義な討議がおこなわれましたか。そして、その場に、あなた自身は必要な存在でしたか。
このメルマガを一緒に書いている坂口さんに、独立して良かったことを質問すると、まっ先に「会議がなくなった」と答えてくれました。当時の私には結構ショックでした。会議の出席は立派な「仕事」だと考えていたのです。その後、自分の会議出席を観察してみました。すると、会議中にパソコンでメールを読んでいたり、会議のテーマとは関係ない考え事をしていたりする自分に気づきました。そして、朝から夕方までずっと会議で予定が埋まっている場合は、明らかに自分の業務が進んでいない事実も再認識できました。改善の余地、満載でした。
しかし、だからといって、いきなり会議に出席しないといった選択は、組織的な協調を乱します。会議のなかには、出席することに意議を見出している場合もあります。しかし、まず考えるべきは、企業内の業務はすべて会議で完結できない点です。したがって、会議の位置付けを明確にし、明らかな目的を持ち、必ず達成する。この3点は、会議に限らず、仕事を進める上では、重要なポイントです。会議には、自分が主催する場合と、出席依頼を受ける場合の2つのパターンがあります。自分で主催する場合はもちろん、出席依頼を受けた場合でも、積極的に自分の業務の前進に活用する方法論を学びます。また、いわゆる体裁を整えた会議だけでなく、ちょっとした打ち合わせも含めて、日々の業務に役立つ活用法を考えます。
1.会議を主催するとき
会議は、関係者を複数集めて、同じテーマについて討議をおこないます。社内の各組織と、担当者が足並みをそろえるために不可欠の取り組みと、召集があれば当たり前に出席していませんか。会議は非常に高コストな取り組みであり、開催には費用対効果を強く意識しなくてはなりません。ここでは、会議をみずから開催する場合に、考えなければならない五つのポイントを述べます。
①会議を開催しない方法論を模索する
会議開催は当たり前ではなく、どうやったら開催しないで済ませられるかをまず考えます。書類やメール、電話では済まないのか。多くの企業で、仕事は決められた手順で進められているはずです。どうしたら開催せずに仕事が進むかを考えると、会議を開催しなければならない目的も明確になります。現在設定された手順では対処できないとか、設定されたプロセスでは、都合の悪い点が顕在化したといった場合です。開催が当たり前ではなく、まずやらない方法を考え、その上で、開催目的を明確にし、最後の手段として会議を開催します。
②会議開催時間を厳守する
複数社員の業務時間を費やしておこなわれる会議です。主催者は、内容によって開催時間を設定し、時間通りに開始して、時間厳守で終了させる責任があります。また、会議に要する時間は、ブレインストーミングといった要素がなく、出席者が事前に資料に目を通すといった準備をしていれば、30分から長くても一時間程度で終了可能です。一時間以上を費やす会議が常態化していれば、会議の開催スキルと出席スキルが不足しています。勤務時間が有限であるとの前提に立てば、長々と会議を続けられないはずです。
③目的(ゴール)を明確に伝える
会議を招集する際にも、そして開催した会議の冒頭でも、会議のゴールを設定し出席者に伝えます。会議の場で一堂に会するメリットは、テーマ・討議内容・結果それぞれの認識の共有化です。調達・購買部門が主催する会議は、サプライヤや、購入品にまつわるQCDが、会議のテーマと関連するはずです。テーマについて、現状、対応の方向性、具体的なアクション内容と、実施担当者を決めます。会議を開催し、結果を共有すれば、担当者や部門の意見でなく、関係者の総意となり、企業としての意志決定につながるのです。
④出席者を厳選する
会議出席者の選定も重要なポイントです。会議のテーマ、現在の状況、対応の方向性、具体的なアクション内容と実施できる、あるいはすべき担当者を会議招集前に考えれば、おのずと必要な出席者は想定できます。間違っても「取りあえず呼んでおくか」といった、明確な理由のない召集はやめましょう。会議の開催意議と会議召集者の姿勢が疑われます。
出席者を厳選して開催するのですから、出席を依頼した同僚には、万難を排し出席を申し入れます。最近では、パソコン上で相手のスケジュールが確認できるグループウェアも一般的になっています。すべての出席者の空き時間に会議を開催する配慮も、前提条件としては必要です。
⑤討議に必要な資料は事前に作成して送付する
会議で、もっとも時間を割かなければならないテーマは、解決策の決定と、解決策実行に際した関係者のコンセンサスです。いくつかの選択肢がある場合や、解決しなければならない問題の説明は、事前に文書化して、会議開催通知と一緒に送付します。会議の冒頭に、事前配布資料の説明や、質問を受ける時間は設けるものの、資料の説明をすべておこなう進行は避けます。
こういった内容をチェックシート化して、本当に会議開催が必要なのかを検討する。それでも必要と判断されたら、開催する価値の最大化を目指して、入念に準備して会議に臨みます。
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<つづく>