ほんとうの調達・購買・資材理論(牧野直哉)

3-7 効率を上げる力~IT技術

仕事をスムーズに行うために、IT技術の活用は不可欠です。ITとはInformation technologyの=情報技術の頭文字をとった略語です。調達購買部門では、どのようなIT技術を活用して仕事を進めるのでしょうか。取り扱うのは「情報」です。したがって、以前より私がお伝えしている「情報力」の考え方にそって、各プロセスでどのような技術活用力が必要かをお伝えします。

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☆収集(インプット)

インターネットの検索は、情報収集には格好の手段です。調達購買部門にとってサプライヤや市況に関する情報収集は不可欠です。ここでは、情報収集の2つの方法をお伝えします。

●情報を「待つ」方法

この方法では「Googleアラート( https://support.google.com/alerts/?hl=ja )」を活用します。「待つ」とは消極的な印象を持たれるかもしれません。しかし、こういったツールを活用すれば、自動的に自分のパソコンで新たな情報を入手できます。詳細の使用法は、リンクページをご参照ください。簡単に使用法を説明すると、入手したい情報の「キーワード」をあらかじめ登録しておきます。すると、キーワードに関連した情報が新たにWeb上に登場すると、ホームページのアドレスがメールで届く仕組みです。配信頻度も都度、一日一回、週一回と3種類設定されています。おすすめは一日一回です。

登録するキーワードは、サプライヤ名や購入する商品名を設定します。これは、アクセス可能なウェブ上すべての情報を対象とします。具体的な活用事例としては、ワンマン社長のいるサプライヤの場合は、社長の名前を登録します。すると、サプライヤに直接関係しない、例えばサプライヤの地元での地域貢献の情報が入手できます。次回、ワンマン社長に会うときには、そういった情報を活用して会話を進めるのです。

また、日々の出来事・ニュースとしては、スマートフォンであればキュレーションアプリ、パソコンであれば、メールマガジンを活用します。キュレーションとは、インターネット上の情報をまとめることです。作家の佐々木俊直さんがTwitterでやられているのが有名です。代表的なアプリやサイトは以下の通りです。

【スマートフォンアプリ】

ニュースキュレーションまとめサイト( http://app-liv.jp/news/sougou/1691/ )

私は、ランキングのトップになっているSmartNews( https://itunes.apple.com/jp/app/nyusugasakusaku-dumeru!smartnews/id579581125?mt=8&ign-mpt=uo%3D4 )を愛用しています。無料のアプリが多いので、一度お試しをおすすめします。

【メールマガジン】

REUTERS https://commerce.jp.reuters.com/registration/pages/registration/begin.do

ニュース関連のメールマガジンは、たくさんの種類があります。その中でも私がこのREUTERSのメルマガをおすすめする理由は、次の2つです。

一つ目は、扱っている商品市況の種類が多く、REUTERSのホームページを参照する機会が多いためです。二つ目は、日本のマスコミとは少し違った視点を持った報道がおこなわれているためです。日本のマスコミ報道はSmartNewsで入手して、グローバルな視点をREUTERSと考えています。

●情報を「追う」方法

情報を「追う」場合もインターネットを活用します。自分で情報を追う場合は、なんらかのニーズがあるはずです。情報源が少ない場合は、1つのキーワードでも十分必要な情報が入手できます。しかし、世間でも大きな話題になっているテーマでは、検索結果で表示される情報源が多すぎる場合があります。例えば、先週号でお伝えした「エボラ出血熱」の場合を具体例として考えます。

ただ「エボラ出血熱」をキーワードにして検索をおこなうと、その検索したタイミングでもっともセンセーショナルに報じられている内容ばかりが検索結果に表示されます。先週の記事を書いているタイミングでは、エボラ出血熱で無くなった方の遺体が道路上に捨て置かれているといった内容でした。しかし、そもそもどんな病気なのか、原因はなんなのか。治療法はあるのか。予防法はどんな手段なのか。こういった情報を「エボラ出血熱」とのキーワードで入手するためには、検索結果を何ページも読まなければなりません。

そんな場合には「検索コマンド」を活用します。詳細は、次のホームページをご参照願います。

Google検索方法コツ http://homepage2.nifty.com/gakyuu/sousahou/google.html

検索コマンドによる便利な検索方法 http://www.nifty.com/search/detail/detail_command.htm

Google検索方法とヘルプ http://www.google.co.jp/intl/ja_ALL/help.html

私がもっとも活用する検索方法は、「”and”検索」と呼ばれる方法です。先ほどのエボラ出血熱の例でいえば、治療法を検索したい場合は、「エボラ出血熱(1文字スペース)治療法」で検索します。入力する場合は以下の文字の並びになります。

エボラ出血熱 治療法

また、検索したタイミングで路上に放置された遺体の存在が多く報じられていました。その場合は「マイナス検索」と呼ばれる方法を活用します。「エボラ出血熱(1文字スペース)-(半角マイナス)路上」で検索しました。入力する場合は以下の文字の並びになります。

エボラ出血熱 -路上

この2つの検索コマンドだけでも、欲しい情報の入手がかなり短時間に可能です。上記にご紹介のページには、他にもさまざまな検索コマンドが掲載されていますので、実際に情報が欲しいタイミングで、ご参照なさってみてください。

また、インターネットでなく、サプライヤの担当者に代表される「人(ヒト)」から情報を入手する場合もあるでしょう。わからない事は節度を持って知っている人に聞くのは仕事の基本でもあります。ここでは、情報力を構成する1つの力として「質問力」をお伝えします。

質問する際もっとも大事な点は、相手の時間への配慮です。質問したいのは自分、そして答えてくれる相手にできるだけ的確に短い時間で最良のアドバイスがもらえるような質問を心がけます。具体的には、次の3点の準備をおこなった上で質問します。

1.聞きたい内容の明確化とサマリー

新入社員の時に、電話する前は話す内容をメモしてから電話するなんて教わった方もいるでしょう。何を知りたいのか、具体的にどんなアドバイスが欲しいのかを明確にします。事前に聞きたい内容を箇条書きして、同じような内容をまとめたり、いくつかの箇条書きを一つにして効率的な質問を心がけます。こういったプロセスを持つと、問題意識が深まったりといった効果も期待できます。

2.質問方法の検討

メールなのか、電話なのか、直接面談するのかといった、具体的な質問方法です。メールは手軽ですけど、あまりよく知らない相手には失礼となる可能性もあります。電話や面談は、実際に会って礼を尽くせる可能性がある反面、拘束時間を長くすると相手のデメリットとなる可能性もあります。質問する相手との関係の状態を測って適切な質問方法を選択します。サプライヤの営業パーソンであれば、緊急度と内容によりますが、電話やメールを活用します。

3.自分でも答えを持つ

「わからないから質問するのだ」とお叱りを受けそうです。これも質問する内容によるのですが、まず自分で答えを見いだすための取り組みが可能であれば、おこなった上での質問を習慣づけます。1で質問内容をまとめる際に、答えを想像して書き留めるのでもかまいません。想像通りの回答であればよし、まったく異なる回答であればなお良しです。なぜ違っていたのか、その理由がわかれば、教えてもらった内容が自分の活用できる知識へと変化し、同じ内容を二度と変化しなくてすむのです。

<つづく>

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