プレゼンはこうする(牧野直哉)
●はじめに
私は、月に1~2回講演やセミナーで1時間から長くて6時間、人前で話をします。数人から数十人規模のお客様が対象です。話す内容はその都度変わりますので、日常的に話の内容を考えています。そして、話す内容だけでなく、どうやって話すネタを見つけるか。見つけ出したネタをわかりやすく伝える方法論も探しています。たくさんのプレゼンテーションに関する文献にも目を通し、最適な方法の探求を続けています。
プレゼンテーションとは、頭の中にある情報を目に見える、あるいは聞き取れる言葉で表現して、第三者に伝える行為です。多くの場合は、ネタ探しあるいは事実確認を目的とした「情報の入力」があって、頭の中での「思考」と「情報の整理」、つづいて「情報の具体化」があって、最後に「表現」となります。私の至った結論は、この4つのプロセスの特に「思考」と「情報の整理」は、自分に合う方法論をみずから探さなければならないとの点です。
私もいくつかセミナーを受けたり、プレゼンテーションが上手だなと思う人に準備方法を質問したりしました。聞く人すべてが異なる方法で準備されています。でも、プレゼンテーションに限らず、例えば「報告」であったり、会議・ミーティングでの「発言」でも、的確な意思伝達に必要な準備はとても似ています。ポイントは、そういった準備の的確な方法は、自分で最適な方法とツールを見つけなければならない点です。それでは、どんな方法で、どんなツールを使うのかを見てゆきましょう。
●伝える内容をまとめるための方法とツール
*PowerPoint
今回はプレゼンテーションがテーマですので、まずこのツールによるまとめ方を見てみます。私が現在使用しているバージョンは、PowerPoint2013です。この文章で伝えたい内容を「アウトライン機能」を活用します。
<クリックすると、別画面で表示されます>
上の画像では、この文章の題名と、各章の題名(テーマ)をPowerPointの「アウトライン機能」で明記した状態です。この画面で、全体的な流れを作ります。この画面で流れの妥当性や、書きたい内容との妥当性を検証します。いろいろ考える場合には、次の画面も活用します。
<クリックすると、別画面で表示されます>
上の画像は、PowerPointの「スライド一覧機能」を活用します。各章の前後関係を確認したり、入れ替えたりといった場合、この画面でおこないます。
このような使用方法では、実際のプレゼンテーションで使用するスライドの作成はおこないません。あくまでも構成とか、伝えたい内容の網羅性の確認が目的です。2つの画面を見ながら考えると、あの内容も、この内容も入れたらどうか、といったアイデアが浮かぶ場合があります。その場合は、浮かんだ内容をどんどん加えてゆきます。また、内容的に違うと判断する内容もあるでしょう。私の場合は、そういった内容も「ボツ」と名付けて残しています。
このやり方のメリットは、最終的にプレゼンテーション用のスライドを作成する場合、思考の経過を反映させやすい点と、各章の題名が入っているので、スムースにスライド作成がおこなえる点です。一方、デメリットとしては、パソコンがないと作業が進まない点です。テーマと少し外れますが、私がセミナーや講演の内容を考えるとき、必ずしもパソコンを操作しているわけではありません。私の場合は、電車やバス、自家用車での移動中が多くなります。電車やバスでは座れる場合はパソコンを開きますが、立っていたり自分で運転する場合は、使えない方法です。しかしPowerPointを使用する場合は、スムースな次工程への展開が可能な点は見逃せないと考えています。
*A4の紙
<クリックすると、別画面で表示されます>
上の画像は、実際の企画内容のメモです。これは、打ち合わせをおこなった際の資料の裏へ書きました。この方法のメリットは、紙とペンがあれば可能ですし、パソコンも不要。比較的場所も選ばないし、先ほどの例のパソコンソフトような型もないので、私は活用頻度の高いパターンです。
画像の中で、数種類の色を使い分けているのは、このA4に向き合って書き記した回数を表しています。また、前回、前々回考えて記した内容に妥当性があるのかを自分自身で問うなおすために色を変えています。多機能ペンで、黒/赤/青/緑の4色が一本になったボールペンを使用して、見直した回数による深い思考を心がけるのです。
この方法のメリットは「型」がないため、文章/箇条書き/図表となんでも記載できる点です。表現に制約がない自由さが、私には心地よく感じます。一方デメリットは、手書きをある段階でデジタル化=テキスト化しなければならない点です。しかし、このデメリットになるプロセスは、構想化の最後の段階として、構想内容を最終確認するプロセスとして、自分では納得している作業です。
<つづく>